電気自動車(EV)などに使われる蓄電池の製造基盤を整備するため、経済産業省は2024年度予算案に2300億円を計上した。蓄電池に関係する企業に対する支援を進めることで、経済安全保障上の重要物資に位置付けられる蓄電池のサプライチェーン(供給網)強化につなげる。
蓄電池はEVバッテリーのほか、再生可能エネルギーで発電した電力の需給調整に使われるなど、脱炭素化の流れを受けて需要が高まっている。ただ蓄電池や材料分野では、中国や韓国企業がシェアを伸ばしているほか、今月には中国政府がEV向けリチウムイオン電池の材料であるグラファイト(黒鉛)の輸出規制を始めるなど経済安保上のリスクも高まっている。
経産省は、蓄電池や関連素材への大規模な設備投資や技術開発の支援に充てる基金に、23年度補正予算と合わせ約5000億円を積み増した。今後は、複数企業による連携した取り組みを条件に製造装置メーカーへの支援も検討する。政府はこれらの支援を通じ、蓄電池の国内の製造能力を30年までに現在の7倍超となる150ギガワット時まで高める狙いだ。
蓄電池以外の半導体などの重要物資については、安定供給確保に向け関連経費を補正予算で確保した。EVや半導体などの生産量や販売量に応じて税優遇する仕組みも創設するなど、予算と税制一体で供給網強化を支援する。
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