環境省は12月19日、「くらしの10年ロードマップ(案)」を公表した。この中で、消費者による「くらしの脱炭素化」に向けた行動が進められない理由(行動制約要因・ボトルネック)について分析し、解決策を提案している。項目は、①住宅(外)、②住宅(内)、③衣類、④買・食(消費・ごみ)、⑤職、⑥移動、⑦基盤(情報)の7分野。
このうち住まいに関する項目では、断熱化・太陽光発電など住宅の省エネ化・再エネ導入が進まない要因について、▽メリットを知らない、▽初期費用などの支出が大きく導入にためらいがある、▽断熱工事までに時間が掛かり待ちきれないなど―を挙げた。
民間会社が実施した調査では、消費者の4割は「住宅の断熱」について「言葉は聞いたことがあるが内容は知らない」「言葉を聞いたことがない」と回答。また、断熱工事未経験者の大半は、手間・時間が掛かることを理由に、窓断熱化をしていないと回答している。
その対策として、▽住宅の省エネ化・再エネ導入のメリットが実感・体感できる機会を提供する、▽支払いを平準化して1回の支払金額を抑えるサービスを提供する、▽手間がかからない断熱化を消費者に勧める―ことを提案した。
具体的な案としては、商業施設、公共施設、空き家、宿泊施設を活用した体験イベントの実施や、新築・既存住宅向けに太陽光発電設備・高効率給湯機などをパッケージ化して提供することを提案。支払いを平準化するために、▽サブスク型サービス▽初期費用ゼロで行えるPPA・リースなどのサービス▽環境配慮型ローン▽複数補助制度の一括申請受付の拡大―などを提案している。
一方、LED照明、省エネ家電、高効率給湯器、節水機器などのエコグッズの選択が進まない要因については、▽利用によるメリットや意義を知らない、▽「高い」「操作が難しい」などのイメージがある、▽価格が高く、大きな出費にとまどいがある、▽導入(承認・工事)に時間が掛かり待ちきれない―を挙げた。
その対策として、▽商業施設・宿泊施設での利用体験と購入機会の同時提供▽ライフサイクル全体でのコスト比較などの情報提供▽一括払い以外の選択肢(ローン、リース、サブスク、レンタルサービスなど)と公的補助などの負担軽減措置との組み合わせ▽導入時間が短縮される取組み(事前準備の実施など)―を提案した。
「くらしの10年ロードマップ(案)」について、環境省では2024年1月18日までパブリックコメントを実施している。
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