国土交通省が12月19日に公開した「宅配便再配達実態調査」によると、2023年10月の宅配便再配達率は約11.1%で前年同月から約0.7ポイント減少した。同省では今年6月に閣議決定した「物流革新に向けた政策パッケージ」の中で、再配達率を半減にする緊急的な対策を打ち出しており、再配達率6%を目標とした施策を24年度予算に盛り込む考えを示している。その施策の一つとして宅配ボックス設置への支援を挙げている。
22年度の「住宅市場動向調査報告書」によると、宅配ボックスが設置されている住宅は、「分譲集合住宅」では92.4%と高い割合になっているが、その他の住宅では半数程度あるいは3割以下と低い水準となっている。したがって宅配ボックスを導入する余地は、まだあると推測される。
宅配ボックス設置に関する支援策
国交省住宅局および物流・自動車局が公表している宅配ボックス設置に関する支援策(実施予定含む)は12月1日時点で9件。このうち戸建や共同住宅で利用できる支援策は、「長期優良住宅化リフォーム推進事業」「子育てエコホーム支援事業(24年度)」などがある。
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」では、民間住宅を対象に、固定式の宅配ボックスの設置を支援。ただしワイヤーなどで簡易に固定するものは対象外となる。補助率は3分の1。上限額はリフォーム全体で100万円/戸、または200万円/戸(認定長期優良住宅型の場合)。若者・子育て世帯が工事を実施する場合は50万円/戸が加算される。宅配ボックスの設置工事費については上限額を設けない。
「子育てエコホーム支援事業」では、住宅の省エネ改修と併せて宅配ボックスを設置する場合に設置費用を支援。宅配ボックスの性能として、①保管箱の保安性・防水性機能、②保管箱の剛性、錠の施錠強さなどの安定性、③使用時の安全性・保安性、④表面の抵抗性、部材の耐久性―を求めている。補助額は、宅配ボックス設置工事部分については1万1000円/戸。共用の場合は20ボックス(22万円)を上限とする。上限額はリフォーム工事全体で20万円/戸。子育て世帯・若者夫婦世帯は優遇措置あり。
「住宅確保要配慮者専用賃貸住宅改修事業」では、住宅確保要配慮者専用賃貸住宅を対象に、宅配ボックスの設置費を支援。宅配ボックスの条件は無し。補助率は3分の1、地方公共団体を通じた場合は合計で3分の2。上限額は50万円/戸。
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