国土交通省は2024年1月12日まで、避雷設備の構造方法を定めた告示の改正案についてパブリックコメントを募集している。告示の正式名称は「雷撃によって生ずる電流を建築物に被害を及ぼすことなく安全に地中に流すことができる避雷設備の構造方法を定める件の一部を改正する告示案」。改正告示は2024年春頃に公布され、2026年4月頃の施行を予定している。
建築基準法では、建築物の高さ20mを超える部分を雷撃から保護し、建物の損壊を防ぐため、避雷設備の設置を規定している。その構造方法については、「JIS A4201-2003」または「同-1992」によって規定された外部雷保護システムに適合することが求められてきた。
ところが近年に報告された落雷による被害事例から、建物屋上の突角部に被害が集中していることが判明。突角部・縁部の受雷部で雷を捉えきれず、コンクリートが破損(ひび・粉砕・落下など)する事案が発生しているという。
そこで、屋上突角部への保護方法などを規定した「JIS Z9290-3-2019」(雷保護-第3部:建築物等への物的損傷及び人命の危険)が制定されたことに伴って、避雷設備について定めた告示の内容の見直しを実施。「JIS A4201-2003」「同-1992」に適合する構造方法を廃止し、「JIS Z9290-3-2019」に適合する構造方法を採用することとなった。
新たな規定では、屋上突角部・縁部の保護方法として、従来の回転球体法・メッシュ法による受雷部の設置に加えて、①外周部を覆う金属製の笠木の利用、②外壁縁部の直近に沿って受雷導体を配置し、突角部に導体または突針による対策を設置―のいずれかを講じることを推奨している。
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