建設業界に特化した人材サービスを展開するウィルオブ・コンストラクション(東京都新宿区)はこのほど、全国の建設現場で就業する10~60代の社員490名を対象に実施した「残業規制に関する意識調査」の結果を発表した。2024年4月施行の「残業規制」について、77.1%の就業現場で具体的な取り組みが進んでおり、残業規制の適用を「歓迎している」のは全体で75.7%にのぼった。一方、年代別でみると、30代以下では84.8%が適用を「歓迎している」のに対し、40代以上は半数以下の45.6%だった。現場での責任が大きくなる40代以上は、残業規制の適用に懸念や不安を感じている人が多いと考えられる。
《関連記事》残業せず・させずに、どうやって成果を出せばいいんですか?
残業規制を歓迎する理由・歓迎しない理由について聞いたところ、歓迎する理由で最も多かったのは「余暇(自分の時間)が増える」(78.7%)で、「休息の時間が増える」(52.8%)が続いた。
歓迎しない理由では「給与(残業代)が減る」(31.6%)が最も多く、「仕事が終わらず、サービス残業が増える」(30.0%)、「工期・納期が間に合わなくなる」(22.0%)が続いた。給与の目減りが1番の懸念事項となっているが、20~30代の若手ではサービス残業が増えることを理由に挙げている人が多い。残業規制が適用されても業務量は削減されないため、サービス残業の発生や納期遅れに対して多くの人が不安を感じていることがわかる。
建設業では就業者数が4年連続で減少し、人手不足が深刻化している。働き方改革の一環として2024年4月1日から残業規制が適用されるが、同社はルールとして残業時間を規制するだけでなく、働き方の面で解決すべき課題についても考えていく必要があると指摘している。
■関連記事
急がれる工期基準の見直し 2024年問題にも影響
建築で3年連続生産性が低下―日建連「フォローアップ調査」
4週8休取得いまだ3割 多すぎる書類と少なすぎる人員
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。