個人向けのホームインスペクションを行うさくら事務所(東京都渋谷区)が実施した新築戸建て住宅の工事チェックにより、例年7割超の現場で防水層の不具合が発覚していた。同社執行役員・プロホームインスペクターの田村啓さんは、防水の明確な公的基準がないことに加え「現場監督や職人の、雨漏りに対する意識の差」も関連しているとみる。
2022年は81.3%の現場で不具合が発覚。直近では19年で83.9%、20年78.1%、21年85.5%と80%前後で推移している。特に多いのはサッシ周り、外壁の平部・目地部、笠木(外壁との取り合い部など)の3つ。サッシ周りでは防水テープの隙間や貼り順の間違い、防水紙の破損などがよく見られる。横や下からも雨水が浸入しやすい笠木でも、防水紙の隙間や貼り順の間違いが多い。
また外壁では、目地部の重ねしろ不足や平部における防水紙の破れが多い。後者は台風などで養生を外した際に飛来物が壁に当たった、狭小地で職人が資材・工具や腰袋をぶつけた、といった理由によるもので、田村さんによれば「指摘率は1割を超える」ほどの多さだという。
その他、特に危険な不具合事象としては「防水紙の重ね順が上下逆」「配管の貫通部周辺の処理が甘い」「ステープルの打ち間違いによる穴」などが挙げられる。・・・
この記事は新建ハウジング12月20日号1面(2023年12月20日発行)に掲載しています。
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