読めば工務店のチカラになる。この一冊で2024年がわかる―。
新建ハウジングは12月20日号に別冊付録として、来年の住宅市場、産業について、本紙発行人の三浦祐成が解説する人気シリーズのムック本「住宅産業大予測2024『工務店黙示録 人が活きる経営』」を同梱する。あわせて、一般発売もスタートさせる。本書の発行にあわせて、コンセプトやスタンスを三浦に聞いた。
巻頭言にも書きましたが、本書は工務店とそのサポーター以外の方には読むことをお勧めしていません。工務店を応援するスタンスを貫いているので、参考にならないばかりか、気分を害する方が出るかもしれないからです。
そもそも、「住宅産業大予測」は書店売りもしますが、工務店の応援紙である新建ハウジングの「付録」として発行してきました。
新建ハウジングが工務店を応援する理由はいくつもありますが、大きくは工務店が地域の木造住宅・木造建築の建築・維持管理を担うのが合理的で、かつ地域社会・経済のためにもなるからです。
また私たちは「変えよう!ニッポンの家づくり」をメディアビジョンとして掲げていますが、工務店は経営者の意思決定1つでより善い建築・経営に向かって舵を切ることができる、共にニッポンの家づくりをより善くできることも理由の1つです(もちろん他業界同様に現状ではまだ玉石混交の業界ではありますが)。
「住宅産業大予測」では、この新建ハウジングと同じスタンスで工務店と工務店をとりまく環境を観察して来年の「予測」を行い、その対策とともに簡潔に解説しています。
「予測」と書きましたが、筆者はP.Fドラッカーが言う「すでに起こった未来」=まだ大きく顕在化していない変化やその予兆を見つけ出し、顕在化するまでのリードタイムを利用して「予測」的に提示しているに過ぎません。
逆に言えば、「すでに起こった未来」ですので、単なる「予測」と異なり大きく外れることはありません。
ポイントは、前述のように工務店に特化し工務店がおさえておくべき変化だけを抽出して工務店の対応策まで解説していること、その抽出や解説を筆者1人の視点で行っていること=筆者1人で書いていることです。
どんな変化をどう抽出しどう解説するかは、1人の主観で行ったほうがいい、それにより一貫性とストーリーが生まれると考えていて、このシリーズの発刊当初から1人で書くようにしています(もちろん編集・デザインなどで当社スタッフのサポートを受けています)。
まとめると①工務店に特化した②大きくは外れない③主観に基づいて解説する来年の「予測」本であることが本書の特徴だと考えています。
未曾有の人手不足社会=供給制約経済へ
一層「ひとが活きる経営」が必要に
2024年版は「工務店黙示録」をサブタイトルとしました。「黙示録」=「激励と警告の書」で、宗教的文言であるがゆえに迷いましたが、今回の内容がまさに工務店への激励と警告だったので、この文言を使うことにしました。
2023年は注文住宅中心の工務店にとって厳しい1年でしたが、2024年も時期的な凸凹や地域差の凸凹はあるものの注文住宅市場の厳しさが続き、さらには残業規制をはじめ様々な変化対応を迫られ、自らが信じる細い道を進む1年となります。
本書ではそんな工務店への激励と、道を踏み外さないための警告を盛り込んだつもりです。
なかでもこれからは一層、善いひとが集まり自律的に考え活躍する「ひとが活きる経営」(ひとを「活かす」トップダウン型経営ではなく、ひとが自律的に動く「活きる経営」)が必要になる。この当たり前と言えば当たり前ですが実践の難易度が高い結論に行き着き、今回は「ひとが活きる経営」をメインタイトルとしました。
今後日本が未曾有の人手不足社会=供給制約経済へと進んでいくなか、DXなどによる省人化やアウトパートナーリングを含め、ひとがすべての上限となり、またひとが強みに、さらには経営持続の源泉となっていく。
このことを警告として伝えたつもり、またすでに「ひとが活きる経営」を実践している工務店には激励として伝えたつもりです。
恒例となった物語スタイルの「小説で学ぶ工務店経営」というコーナーも、「ひとが活きる経営」をテーマに工務店のV時回復ストーリーを書きました。実際にひとを基点としたV字回復は可能だと思っています。
他にも2024年に工務店がおさえておくべき変化・トピックとその対応策を凝縮したつもりです。
年末年始にお読み頂き、方針・戦略立案の参考に、またスタッフ教育やスタッフとのベクトル合わせに活用頂ければ幸いです。【三浦祐成(本紙発行人)】
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