未経験の若手社員を早期に成長させるために、現場に通わせるという方法がある。若手社員が女性の場合、どのような経過をたどるのか。性能向上リノベーションを手掛けるハイウィル(東京都荒川区)社長の稲葉高志氏とプランナーの北畠未紀子氏への取材をもとにポイントを伝える。
入社後すぐに現場に通って職人に学ぶ
◉前半は未経験者であった北畠氏が、設計から施工管理までをカバーする多能型社員としての技能を身に付ける過程を見ていく。後半は北畠氏の経験談より、現在の若手の育成に生かせる教訓を探る
◉北畠氏は女子美術大学の造形デザインを2000年に卒業。二級建築士を取るために1年間土木コンサル会社で働いた。住宅の仕事がしたいと考え、ハイウィルの求人案内を見つけて転職した
◉ハイウィルは性能向上リノベの先駆け。当時から耐震や断熱改修を手掛けていた。北畠氏は設計担当(プランナー)として採用されたが、社長の稲葉氏の指示で現場に通うことになった
◉稲葉氏が上述の指示をしたのは「躯体を知らないと設計はできない」と考えていたため。北畠氏は毎日現場に足を運び、ごみ拾いや掃除、現場監督への連絡係などを受け持った
◉現場は圧倒的な男社会。当初はコミュニケーションに苦労した。職人特有のプライドと劣等感が混じり合う感情が理解できず、言い方を間違えて、職人がヘソを曲げたこともあった
➡当初は職人と北畠氏の間に共通言語がまったくなかったので、関係を構築するのに時間が掛かった
責任の大きさが最大のプレッシャー
◉北畠氏は当初、職人から「お嬢さん」と呼ばれていた。職人も現場で女性社員に接したのは初めてで戸惑っていた。そして、北畠氏がすぐ辞めると見なしてお客様扱いしていたようだ
◉それでも面倒見のいいベテラン大工がおり、昼食やお茶の時間に北畠氏に木造のことを教えてくれた。現場に通ううちに距離は縮まったが、職人とチームに慣れたと感じたのは2年以上経ってから
➡職人と関係ができた後も、職人に指示を出すのは苦手だった。元請けの立場で「命令」するときに心苦しさを感じていた
◉現場用語や尺貫法による寸法表現にも戸惑った。「インニイッサン」・・・・
この記事の続きは、『新建ハウジング別冊・月刊アーキテクトビルダー12月号(2023年11月30日発行)社員の多能化で生き残る! 育てる人事[超]実用セオリー』(P.53〜)でご覧ください。
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