国土交通省は15日、トラック輸送事業者が荷主企業と運賃交渉を行う際の参考指標となる「標準的な運賃」の改正案を公表した。燃料費高騰や人件費上昇などを反映し、2020年に告示された現行の運賃表から平均で約8%引き上げる。運賃算出の根拠とする軽油単価は1リットル=120円(現行100円)に修正する。
来年4月に導入されるトラック運転手の残業規制によって人手不足や物流混乱が懸念される「24年問題」対策の一環。運賃へのコスト転嫁を後押しし、運転手の待遇改善を促す。運輸審議会への諮問を経て改正する。
標準的な運賃は、荷主に対する交渉力が弱いトラック事業者を支援するため18年に創設された制度。車種や輸送距離、地域ごとに指標となる運賃が示されている。
今回の改正では、特に運転手の長時間拘束の主因となっている荷待ちや荷役作業の対価確保を重視。30分ごとに加算される待機時間料に加え、「積込料・取卸料」の水準も提示。荷待ち・荷役時間が計2時間を超えた場合に5割の割増料金を設けることも盛り込んだ。
このほか、燃料価格変動に応じて別建て運賃として収受する「燃料サーチャージ」についても、軽油1リットル=120円を基準に価格表を修正。多重下請け構造の是正のため、別のトラック事業者に再委託する際に運賃に10%上乗せして荷主に請求する「下請け手数料」を新たに設定するなどした。
■関連記事
残業せず・させずに、どうやって成果を出せばいいんですか?
2024年問題、6割の企業が「マイナス」影響 TSR調べ
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。