国土交通省は12月14日、2024年度「税制改正要望」の内容を公表した。要望の中で、不動産市場の活性化や住まいの質の向上、災害対策に関わる税制の改正を求めている。これらは同日公表された与党の「税制改正大綱」に反映された。今後、閣議決定を経て国会に提出される予定。
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「住まいの質の向上・無理のない負担での住宅の確保」に関する項目では、住宅ローン減税、リフォーム減税など10項目について要望した。このうち住宅ローン減税(所得税・個人住民税)では、2024年内に長期優良住宅・低炭素住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅を新築・入居する場合に、借入限度額を4500万円までとしていたところ、子育て世帯・若者夫婦世帯については5000万円に拡充される。19歳未満の子を有する世帯、または夫婦のいずれかが40歳未満の世帯が対象となる。さらに2024年までに新築の建築確認を行った場合の床面積要件が40㎡となる。
また、住宅取得状況が悪化している背景を踏まえ、住宅取得資金に係る贈与税・相続税非課税、および認定住宅の新築をした場合の所得税額の特別控除をそれぞれ2年(2025年12月31日まで)延長する。贈与税の非課税限度額は、質の高い住宅の新築・増改築が1000万円、一般住宅が500万円。質の高い住宅には、①断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上(※例外あり)、②耐震等級2以上または免震建築物、③高齢者等配慮対策等級3以上―が該当する。また、認定住宅(長期優良住宅・低炭素住宅・ZEH水準省エネ住宅)については、標準的な性能強化工事費相当額の10%が控除される。
新築住宅に係る固定資産税の減額措置も2年間(2026年3月31日まで)延長する。住宅取得者の初期負担を軽減することが目的。戸建ては3年間、マンションは5年間、それぞれ2分の1減額する。
省エネ性能等に優れた認定長期優良住宅および低炭素住宅に係る特例措置では、登録免許税の措置を3年間(2027年3月31日まで)、不動産取得税・固定資産税を(2026年3月31日)まで延長する。登録免許税で税率を一般住宅特例より引き下げるほか、不動産取得税の控除額の増額(控除額:1300万円)、固定資産税の特例期間の延長(戸建て5年、マンション7年)を行う。
子育て対応改修の控除額最大25万円
既存住宅のリフォームに係る特例措置の拡充および2年延長(2026年12月31日)も行われる。2024年12月31日までに子育て世帯が子育てに対応した住宅へのリフォームを行う場合に、標準的な工事費用相当額の10%を所得税から控除する。対象は、①住宅内の事故を防止するための工事(手すり設置など)、②対面式キッチンへの交換工事、③開口部の防犯性を高める工事、④収納設備を増設する工事、⑤開口部・界壁・床の防音性を高める工事、⑥間取り変更工事。対象工事限度額は250万円、最大控除額は25万円。
他に、以下の内容についても特例措置の延長が行われる予定となっている。
▽住宅用家屋の所有権の保存登記に係る特例措置(登録免許税):3年間(2027年3月31日まで)▽居住用財産の買換えに係る特例措置(所得税等) :2年間(2025年12月31日まで)▽買取再販住宅の取得に係る特例措置(登録免許税):3年間(2027年3月31日まで)▽既存住宅の耐震・バリアフリー・省エネ・長期優良住宅化リフォームに係る固定資産税の特例措置(固定資産税):2年間(2026年12月31日まで)
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