東京大学と名古屋大学の共同研究チームはこのほど、コンクリートなどセメントを用いた材料に空気中のCO2を固定した場合のCO2量を、炭素14(14C)を使って調べる方法を開発した。炭素14は考古学で出土品の年代測定を行う場合などに用いられる放射性炭素。
今回開発された手法により、コンクリート内のCO2を定量的に示すことが可能になった。コンクリート関連分野でのカーボンニュートラル(CN)への貢献が可能になるほか、炭素税や排出権取引における評価手法としての活用も期待されている。
これまでCO2排出量削減に向けた取組みとして、セメントとCO2を反応させることでコンクリートにCO2を吸収・固定化させる技術などが開発されてきたが、固定化したCO2が空気中のものであることや、固定した量を証明する手法がなかった。
《関連記事》
竹中、CO2排出8割減のコンクリ開発 万博催事場の基礎に
東急建設、低炭素型コンクリでCO2排出を46.5%削減
この手法では、まず水とセメントを十分に反応させて硬化したセメントペーストを粉砕。それを空気にさらさせて、空気中のCO2との炭酸化反応を一定期間進める。次に、炭酸化反応が進んだことを粉末X線回折による鉱物組成分析で確認。サンプルをリン酸で溶解させて、無機炭酸塩のみを分解してガスを捕集する。そのガスの14C濃度を加速器質量分析装置で測定する。実験では、測定した14C濃度と、固定化された炭素量から見積もった14C濃度が、測定値と計算値で一致。CO2固定量の総量を適切に評価できることを証明した。
■論文発表者・研究者等情報
東京大学大学院工学系研究科・丸山一平教授
名古屋大学宇宙地球環境研究所・南雅代教授
■論文情報
雑誌名:Journal of Advanced Concrete Technology
題 名:Verification method of direct air capture by cementitious material using carbon isotope
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。