帝国データバンク(東京都港区)は12月14日、2024年1月から本格的に運用が始まる改正電子帳簿保存法(電帳法)に対する企業の対応状況を調査した結果を発表した。有効回答企業数は1023社。
電帳法への対応義務化が迫るタイミング(12月8日~12日)で、「すでに対応できている」と回答した企業は28.5%と3割に満たないことが明らかになった。一方、「一部対応できている」(39.5%)、「現時点未対応だが、対応予定はある」(23.9%)を合わせて、6割超(63.4%)の企業が対応予定でありながら完了していない状況にある。対応済みの企業からは「クラウドサービスを購入。電子保存義務のある帳簿・書類以外も、電子保存してペーパーレス化を推進」(機械・器具卸売)と前向きな姿勢が見られたが、対応が完了していない企業からは「実際に運用を進めてみないと問題点が浮かんでこない。不安だらけ」(建設)など、運用開始後に様子を見て対応していくといった声が聞かれた。
規模別では、「すでに対応できている」企業は「大企業」が38.8%と4割弱なのに対し、「中小企業」は26.8%、「小規模企業」は21.2%と10ポイント以上低く、企業規模が小さいほど対応が遅れている様子がうかがえた。
電帳法への対応にともなう懸念事項・課題について聞いたところ、95.6%が「懸念・課題あり」と回答。内容は「業務負担の増加(他業務への影響含む)」が69.8%と最も高く、次いで「社内での理解・連携不足」(43.4%)、「業務を適切に管理、遂行できるか不安」(39.2%)、「保存要件を満たしているか不安」(36.3%)が続いた。スタートが目前に迫るなか、「インボイス制度を含め業務負担が激増した」「社内システムで十分かを検証する時間が足りない」など、事務負担の増大や社内運用面での不安を抱える企業が多い。
10月のインボイス制度に続き、2024年1月からは電帳法の運用が本格的に始まる。電帳法では、原則として電子取引を行う企業や個人事業主に対し、電子的な方法で受領した請求書や領収書などを、電子データで保存することが義務付けられる。DXによる業務効率化やペーパーレス化の推進が期待される一方、業務負担の大幅増加など課題もあることから、定着までに一定の時間を要するため、中小企業を中心にシステムなどの導入コストや運用面でのサポートといった、負担軽減につながる施策が求められるとした。
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