日本商工会議所(日商)がこのほど公表した「商工会議所LOBO(早期景気観測)2023年11月調査」の結果によると、産業合計の業況DIは-9.7で、前月比で0.8ポイント増加。建設業は-11.7で、前月比で2.6ポイント増加した。受注が堅調な公共工事が下支えし、改善が見られる。
原材料価格やエネルギー価格の高騰、人手不足に伴う人件費の上昇などにより、全産業でコスト負担の増加が続いている。一方で、コスト増に見合うだけの価格転嫁が行えていないことから、日商では「中小企業の業況は足踏みが続いている」と分析した。
先行き見通しDI(12~2月)では慎重な見方が続き、産業全体では-13.6と当月比で3.9ポイント減少。エネルギー価格の高騰や円安の伸長によるコスト増が企業収益を圧迫しているほか、欧州・中国などの海外経済の鈍化、緊迫が高まる中東情勢など、先行きが不透明となっている。建設業の見通しDIは-14.9で、当月比で3.2ポイントの減少となった。
設備投資に関する調査では、「設備投資を行う(予定含む)」と答えた企業は産業全体で41.6%となり、「見送る(予定含む)」は29.9%、「未定」は28.5%となった。建設業は「行う」33.9%、「見送る」33.6%、「未定」32.5%で、他産業と比べて「見送る」と答えた割合が高かった。
関西で民間工事の受注
建設業では、深刻な人手不足や建設資材価格の高騰が続いているが、前月との比較では「改善」されたと分析。事業者からは、「新規取引先の開拓を行ったことで足元の売上は改善している。一方で、建設資材は輸入品が多く、円安で負担コストが増加し、採算が悪化している」(大工工事業)、「働き方改革の施行に向けて週休2日制導入などの環境整備を行ったため、工期の長期化が見込まれる」(一般工事業)などの声が聞かれた。
ブロック別では、北陸信越、東海、関西、中国、四国が「改善」。特に関西では、万博関連の公共工事のほか、民間工事の受注が増加傾向にある。中国は、大雨災害の復旧工事を含めた公共工事の受注が増加傾向にあり、売上・採算が改善した。東北、関東は「横ばい」だが、関東は住宅工事で資材価格の高騰と受注減少により、売上・採算が悪化している。
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