京都市はこのほど人口減少対策について取りまとめた「人口戦略アクション2023」を公表。「住まい・子育てに関する取り組み」をはじめとした105の施策を推進する方針を明らかにした。芸術家の移住・居住相談など「文化のまち・京都」ならではのユニークなアイデアも盛り込まれている。
京都市では、就職・結婚・子育て期の若者が首都圏や近郊都市などに転出するケースが顕著となっており、2016年以降、人口が減少基調となっている。そこで居住環境の創出、教育・子育て環境の充実、企業立地の促進による雇用の創出などに取り組むことにより、若者世代を中心とした人口の増加につなげる考え。
居住環境の創出では、▽伏見工業高等学校跡地・元南部配水管理課用地の活用▽「路地カルテ」による路地奥住宅の流通促進▽市営住宅の「若者・子育て応援住宅(こと×こと)」への活用▽既存住宅の利活用の促進に関する事業者(安すまパートナー)支援―などを実施。
高校などの跡地の活用では2027年度に、全549世帯、約1600人規模となる脱炭素仕様の住宅街区を創出。「若者・子育て応援住宅(こと×こと)」事業では、市営住宅の空き住戸を若者・子育て世帯向けに整備し、安価で提供する。これにより総数で数100戸規模の住戸供給を目指す。
他に、建築基準法の接道許可が事前に確認できる「路地カルテ」の仕組みを構築し、これまで再建築ができなかった路地奥住宅の流通を促進。空き家となっていた住宅を、安心して子育てができる住宅として提供する。「安すまパートナー」では、住まい探しや住宅の改修に係る相談を受け付け、市に登録した不動産事業者、建築関係事業者とのマッチングを図る。
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メタバースを活用した移住相談会も
移住に関する取り組みでは、住宅情報サイト「SUUMO(スーモ)」に京都市の魅力を発信する特設ページを開設。住宅情報とともに地域情報を発信する。他にも、若い世代をターゲットとした京都市への移住促進PR動画の配信、移住検討者向け説明・相談会「MEETS LIFE IN KYOTO」などを開催。
直近では12月20日に、メタバース空間「京都館PLUS X」を活用し、「京都市のコンテンツ企業で働く魅力」をテーマとした移住相談会を開催する予定。芸術家の移住・居住の相談対応から、居住・制作に適した物件の掘り起こしまで幅広く行う「芸術家の移住・居住等推進モデル事業」などにも着手する。
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