大島土地建設(東京都中野区)とブルースタジオ(東京都中央区)が、都心商業地域における小規模木造ビルの標準化プロジェクト「まちの大家による『都市の木造化』促進計画」を進めている。同プロジェクトは中小規模工務店でも計画可能な、小規模木造ビル建築技術の標準化に向けたモデル構築を行うもの。現在、両社が建築を進めている「東中野1丁目新築プロジェクト」(物件名:OS annex 2)は、国土交通省の2021(令和3)年度「サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)」にも採択されている。
2050年のカーボンニュートラル実現のため、都市部では大規模木造ビルの建築が進んでいるが、そのほとんどが大手デベロッパー、大手ゼネコンの認定工法が使われている。その一方で、都心商業地域の一般的な事務所ビル、商業ビルの約7割は2000㎡未満の小規模ビルであり、ビルオーナーにとっては、ビルの建替え・木造化を検討することが難しい状況となっている。
そこで両社では、小規模オフィスビルの木造化技術を普及させるためのモデル構築を開始。JR中央・総武線「東中野駅」前の防火地域に、地上8階建の商業ビルを建築する計画を立てた。敷地は間口約9m、奥行き約17m、敷地面積は約150㎡。駅前商業地域にあることから駅のホームや電車からの視認性も高く、設計・施工技術の普及・啓発が期待できる計画となっている。
構造は、1~4階は2時間耐火性能のある鉄骨ラーメン構造を採用。5~8階は1時間耐火性能の木質構造(短手方向:ラーメン構造、長手方向:耐震壁構造)となっている。耐火性能については事前に加熱実験を行い、無耐火被覆の耐震要素が1時間加熱に耐えること、主要構造部の1時間耐火性能が確保されていることを確認。構造安全性については、構造計算と実大構面加力試験により確認した。
地域密着型「資産運用モデル」構築も
省エネ性能にも配慮し、BEI0.47(ZEBready、BELS☆☆☆☆☆相当)の実現を目指している。壁面に太陽光パネルを設置するほか、断熱材(吹付硬質ウレタンフォーム)、サッシ(アルミ樹脂複合製・Low-E 複層ガラス)、空調設備(空冷パッケージ「ビルマル」)、換気設備(第三種換気)を取り入れる。これにより冷暖房にかかる電力使用量の約28%相当を自家発電により賄う計画。
さらに、地域密着型の資産運用モデルの構築も進めている。不動産オーナー、設計者、工務店、木材生産地の中小部材メーカー、地元金融機関など、地域経済を担う中小企業・小規模事業者によるコミュニティを形成することで、地域の活性化を目指す。
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