政府・与党は、賃上げに積極的な企業の法人税負担を軽減する「賃上げ促進税制」の強化策を11日、固めた。賃上げに加え、教育訓練や子育て支援などに力を入れた企業には、大企業で給与などの増加分の最大35%、中小企業では同45%まで法人税額を控除できるようにする。赤字の中小企業は控除を5年間繰り越せる制度も新設する。
政府・与党は2026年度までの3年間の措置とする方向で、近くまとめる24年度税制改正大綱に盛り込む。
現行制度は大企業の場合、給与などを前年度比で総額3%以上増やすと増額分の15%、4%以上増やすと25%控除できる。見直し後は3%以上の賃上げに対する控除率を10%に引き下げ、4%以上では15%、5%以上で20%、7%以上では25%に設定する。物価高に負けない、より高い賃上げを企業に促す。
5%の控除を上乗せする教育訓練費の適用要件を緩和するとともに、子育てとの両立や女性活躍支援に積極的な企業に控除を5%上乗せする措置も新設する。合計控除率は現行の最大30%から35%に引き上げる。
中小企業に対しては、現在の賃上げ要件を維持しつつ、子育て支援への上乗せを含む合計控除率を最大40%から45%に引き上げる。赤字の中小企業を含めて幅広く賃上げを促すため、5年間控除を繰り越せるようにする。
また、これまで大企業に区分されていた企業のうち従業員2000人以下の企業を「中堅企業」に分類。4%賃上げした場合、現行の大企業と同じ税優遇を受けられるようにする。
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