沖縄では台風とシロアリ被害があるため、RC造で家を建てるというのが、長らく当地での「常識」だった。そのような背景のなか、「カネカのお家 ソーラーサーキット」を導入し、高温多湿の地域においても快適で健康な住まいを提供しようと挑んでいるのが、福地組(沖縄県嘉手納町)だ。省エネ住宅「ココウチ」をカネカとともに開発し、普及に努めている。代表取締役社長の福地一仁さんと、営業部の金城秀周さんに話を聞いた。
福地組は戦後間もない1953年、沖縄県嘉手納町で創業。数多くの公共工事を手がけて地域の再開発と発展に尽力し、民間工事においても戸建住宅やアパートのほか、マンションや病院、工場などの大規模な施設も受注してきた。風向きが変わったのは2009年。政権交代によって公共工事の方針が大きく変わった。このまま公共工事だけに頼っていては経営の安定は図れないということから、民間事業を本格的に伸ばしていこうと方向転換することに。福地社長が前職から福地組に加わった2018年からは、さらに住宅事業に注力していくこととなった。
空気の質感の違いを体感
沖縄県では毎年のように台風が直撃する。また高温多湿であることから、シロアリの被害も多い。そのような背景から、当地での住宅は木造ではなく、RC造が一般的だ。福地組でも住宅を受注するときはほぼRC造だった。
「しかし、他社と同じようなRC造では差別化が難しく、価格競争に巻き込まれてしまう」と福地社長。そこで考えたのが、独自の仕様による住宅商品をつくること。会社の看板となるような、ブランド力のある住宅を目指した。どんな家がいいのだろうか。
福地社長は、様々な住宅メーカー、フランチャイズに目を配り、検討を重ねた。判断の根底にあったのは、福地組のミッションだ。創業以来、総合建設業として、住居、商業、医療・福祉、公園・橋梁など、さまざまな角度から地域の街づくりに関わり、新しい技術やサービスを積極的に取り入れながら、沖縄で暮らす人々の生活の選択肢を増やし、暮らしを便利で豊かなものにしてきた。
「沖縄が抱える課題に対してソリューションを提供したい。住環境という点でいえば、湿気とカビは当たり前のもの、光熱費が高いのもしかたない、そんな“沖縄の当たり前 ”を変えたい」と言う福地社長。高温多湿の気候の中でも、健康で快適で、同時に省エネも可能な住宅を実現することが重要だと考えた。
そこで出会ったのが、(株)カネカが独自開発した外断熱・二重通気工法を核とする工法VC「カネカのお家 ソーラーサーキット」(以下:カネカSC)だった。2019年9月に初めてカネカと接触した福地社長は、同年10月、埼玉県の加盟工務店のモデルハウスに体験宿泊する。「びっくりしました。エアコンの人工的な冷気ではなく、森の中の涼風のようなソフトな空気感が本当に心地よかった。これならお客様に自信をもってお勧めできると確信しました」。
その後、冬場の体験宿泊も経験し、2020年1月に契約工務店となる。さっそく体験宿泊可能なモデルハウスを隣町の読谷村に建設し、営業をスタート。その月にさっそく1棟目を受注し、初年度は7棟を販売するという好調な出だしとなった。
沖縄の住宅の課題を解決
ソーラーサーキット工法を取り入れた福地組の住宅商品「ココウチ」が好評な理由はふたつある。ひとつは、専任のインテリアコーディネーターのチームを用意し、建て主のこだわりやライフスタイルに合わせた間取り、インテリアを提案していること。
もうひとつは、沖縄の気候に合わせた独自の仕様だ。沖縄は5月に梅雨入り、10月まで暑い夏が続くので、湿気の処理が課題となる。そこで、構造躯体内には外気を導入せず、小屋裏と床下をダクトでつなぎ、専用ファンの運転により床下等の空気を動かす新たな仕組みとして、外断熱・二重通気工法の「循環タイプ」(以下:「SC循環タイプ」)をカネカより提案された。この仕組みは、カネカと共に読谷村のモデルハウスで検証し、構造躯体内の湿気ムラを減らす=相対湿度の低減効果につながることを確認した。
また、換気のための新鮮空気の外気は、全館除湿「リフレア」で除湿してから室内に取り込むことで快適な室内環境を実現した。
「カネカさんはメーカーで、自社で研究・開発する力がある。科学的にデータを検証した裏付けをもとに、現場やお客様のニーズに合わせて、一緒に住まいを進化させていけるのではないか。そんな期待通りのコラボになりました」(福地社長)。
「リフレア」によって湿度が適度にコントロールされた快適な室内環境は、カビが発生しにくく、健康に暮らすことができる。「ココウチ」はZEHレベルの性能を標準としており、省エネかつ光熱費削減を実現。カネカは太陽光発電システムも提供。太陽光発電システムを搭載すれば、火力発電の比率が高い沖縄の電力事情でも電気代の高騰に備えられる。湿気やカビ、光熱費という沖縄の住環境の課題に対応した住宅商品となった。
認知度をさらに高める
現在、福地組では毎月、「ココウチ」のモデルハウスで家づくりセミナーを開催。「家づくりの流れや間取り、コストなどについて説明しますが、「ココウチ」のモデルハウスの居心地の良さに驚くお客様は多いですね。“体感 ”してもらえることで、性能というもうひとつの価値があることを自信をもって説明することができます」(営業部 金城秀周さん)
モデルハウスにおける快適性を実現するためには、「SC循環タイプ」と「リフレア」の仕組みが不可欠。そして「ココウチ」は単なる木造ではなく、「新しい住宅」なのだという説明の仕方で、沖縄旧来の木造への先入観を払拭している。実際に「ココウチ」の建て主は次のような感想を述べている。「湿気対策の効果は期待通り。湿気やほこりっぽさがなく、家の中でエアコン1台だけしか使っていないのに、子どもの寝つきもよくなりました。そして台風の時も建物が揺れず、雨風の音も気になりませんでした。外に出てみて、あまりの荒天にびっくりしたほどです」。省エネ、健康のほか、防音の面でも暮らしにいい影響を及ぼし、建て主が快適に生活していることがうかがえる。
「化学メーカーであるカネカさんは私たちとは違う視点や技術を持っている。いい形でコラボできたと思います。今後はさらに認知度を高めるためにどんどん発信に力を入れていきたい。建築家と沖縄の住宅建築について語り合うイベントや、医療関係者を対象に健康な環境づくりについてのセミナーなども検討しています」(福地社長)。
酷暑、湿気やカビ、シロアリ、台風など沖縄の住まいでは「当たり前」となっていた数々の難題。それらを解消するポテンシャルを「ココウチ」は発揮し始めている。
※カネカのお家、ソーラーサーキット、外断熱・二重通気工法、Refrair【リフレア】は、株式会社カネカの登録商標です。「ココウチ」は、株式会社福地組の登録商標です。
(sponsored by カネカソーラーサーキットのお家)
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