国土交通省は12月1日、建設業者団体および主要民間団体などに対して、「下請契約及び下請代金支払の適正化並びに施工管理の徹底等について」と題した通達を出した。資金需要が増大する夏期・冬期に備えて、下請契約および下請代金支払の適正化を行い、施工管理などの徹底を要請するもの。
資材や原油などの価格高騰が懸念される中、経営基盤の脆弱な中小企業が多数を占める下請建設企業に対して、適切な代金支払いが行われるよう指示。さらに、当初の契約どおりに工事が進行せず、工期や請負代金の額に変更が生じた場合にも、双方の協議により適切な対応を行うことを強く求めている。
具体的な要請項目としては、▽原材料費などの高騰を踏まえた適正な請負代金の設定▽社会保険加入の徹底▽適正な法定福利費・労務費の確保▽建設業の働き方改革に向けた適正な工期設定や週休2日の推進▽施工管理の徹底▽適切な下請代金の支払い▽技能労働者への適切な賃金の支払い▽インボイス制度開始後の免税事業者との適正な取引―などを挙げた。
長時間労働の是正など要請
このうち請負代金の設定については、原材料費の高騰などを配慮することを求め、工期内に資材価格の変動があった場合にも対応するよう求めた。さらに請負代金の額を変更する際にも見積りの作成・提出を行うこと、独禁法上の優越的地位の濫用による代金の減額や支払遅延を行わないことなどを指示している。
また、社会保険加入状況の確認のため、CCUS登録事業者を下請負人として選定することを推奨。一人親方が現場作業に従事する場合には、労働者に当てはまる働き方になっていないかを確認し、場合によっては雇用関係に誘導することを要求した。
働き方改革に向けた対応については、2024年4月から罰則付きの時間外労働規制が適用されることを踏まえて、適正な工期や週休2日を確保し、長時間労働の是正に努めるよう要請している。適切な賃金の支払いに向けては、「CCUSレベル別年収」に即した適切な処遇を受けるための環境整備を求め、技能労働者のレベルに応じた賃金の支払いに努めるべきだとした。
さらに10月1日からインボイス制度が開始したことを踏まえ、一方的に消費税相当額を支払わない行為や優越した地位を濫用した行為をしないようにと注意を呼び掛けた。
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