内閣府が8日発表した7~9月期の実質GDP(国内総生産、季節調整済み)改定値は、速報値の前期比年率2.1%減から2.9%減へ下げ幅を広げた。個人消費も引き下げられ、ともに2四半期連続マイナスの設備投資と合わせ内需の弱さが鮮明だ。10~12月期はプラス成長に戻ると予測されるが、海外経済の減速で輸出もけん引役として期待できず、先行きは鈍い回復が続きそうだ。
民間シンクタンク10社の事前予測は、平均で年率1.8%減とわずかに上方修正を見込んでいた。個人消費のうち食料品などの非耐久財が前期比0.3%減(速報値は0.1%減)、衣服といった半耐久財が3.2%減(同0.5%減)と下振れしたのが要因だ。
11月の東京都区部消費者物価指数は、生鮮食品を除く総合で前年同月比2.3%上昇した。伸び率が鈍化する傾向が見られるものの、物価高が消費を冷やしている構図が続く。
伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「物価高による節約志向や猛暑の影響が出た」と指摘する。ただ、先行きについては賃上げの効果などで「消費は戻っていくだろう」と予測する。
みずほリサーチ&テクノロジーズの酒井才介主席エコノミストはインバウンド(訪日客)の回復や食料品などの価格高騰がピークアウトすることで、10~12月期は前期比年率1.0%前後のプラス成長に復帰すると見込む。とはいえ、「経済のけん引役不在という構図は変わらず、回復は緩慢なものにとどまるだろう」と話す。
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