久米設計 九州支社(福岡市中央区)の高崎強・前支社長と宮崎県串間市の福添忠義副市長ら5人が、官製談合防止法違反などの疑いで11月16日に逮捕された問題で、同社は12月1日に再発防止策を公表した。社長ら4人が役員報酬を自主返上する方針も明らかにしている。
同件は、宮崎県串間市が発注する消防施設の新築工事で、設計業務委託に関する指名競争入札で副市長が指名業者選定案を作成し、久米設計の落札を手助けしようとしたもの。最終的には別の業者が8400万円で落札している。なお、談合に関わったとされる大王工業、ランドブレインを合わせた3社は2024年11月30日までの12カ月間、同市の入札参加資格停止を命じられている。
工事は1983年8月に建設された消防本部・串間市消防署を移転新築するもの。外構工事、設計費や調査費などに係る費用は約14.5億円から約17.4億円と試算されていた。施設は平屋建て(約1600~2000㎡)または2階建て(1階約1400㎡、2階約950㎡)を想定。平屋の場合は太陽光パネルを設置し、2階建ての場合は屋上部分を訓練施設にする予定だった。
再発防止策として同社では、業務執行部の運営が法律や業界の規制に適切に準拠しているかを監査するための、独立した監査本部を新設。リスク管理や内部コントロールの強化を行い、コンプライアンス重視の企業文化の醸成を図るとしている。また、事案が発生した企画部門の権限を見直し、管理部門に牽制可能な権限を持たせることも検討している。
さらに従来の社内指針を見直し、新たな「企業行動規範」と「コンプライアンスガイドライン」を制定。内部通報制度の見直しや、社外弁護士による第三者機関の通報ルートの新設を行うなど、社内における違法行為を未然に防止、あるいは早期発見できる体制を整える。加えて、社員が法的な相談や匿名で不正通報できる窓口を設置する。
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