東京商工リサーチ(東京都千代田区)は12月2日、1~10月の経営コンサルタント業の倒産が過去最多の116件に達したと発表した。昨年同期(78件)の約1.5倍に急増し、これまで同期間最多だった2009年(109件)を大幅に上回った。
倒産した116件のうち、90件(構成比77.5%)が「販売不振」で、約9割(104件、同89.6%)が負債1億円未満の小規模事業者だった。年間ではすでに過去2番目の水準になっており、このペースで推移すると2009年(128件)を抜き過去最多を更新する可能性がある。
コロナ禍では、顧客の中小・零細企業が政府・自治体の各種支援金への依存度を高めたため、本来、苦境に直面した企業からの受注が促進される時期に仕事が減少。新型コロナの感染拡大が始まった2020年同期から倒産件数は高止まりしている。また、感染防止で対面でのコンサルティングが難しいなど、新しい生活様式が広がるなか、リモート対応への切り替えができずに業績不振を招き、倒産に至ったケースもあった。
コンサル会社は、国内外のシンクタンクなどの政策系と戦略系、士業などの専門系など多様化。中小企業診断士やファイナンシャルプランナー、各業種の専門家など、個人や中小、大手のコンサル会社がしのぎを削るなか、最近は事業再生やM&A、不動産投資、IT、医療、人材育成なども増え、より細分化している。
コンサル業は、創業時に多額の資金や資格が必須でないため参入障壁が低いが、コロナ禍を契機に求められるレベルが上がり、「本物」を選別する動きも活発になっている。政府や自治体の助成や補助金申請のアドバイスに注力するコンサル会社も少なくなく、今後の動向は政策支援等に左右される可能性もあるとしている。
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