経済産業省は11月28日、再生可能エネルギー(再エネ)の電力買取制度であるFIT/FIPの認定要件などについてまとめた「第2次取りまとめ」を公表した。認定手続の厳格化、FIT/FIP認定要件となる住民などに向けた説明会、太陽光パネルの増設・更新に伴う適正な廃棄の確保などについてまとめている。2024年4月「改正再エネ特措法」の施行に向け、残された課題について総合資源エネルギー調査会「再生可能エネルギー長期電源化・地域共生ワーキンググループ」が議論を行った。
まず、FIT/FIP認定の申請要件で認定手続を厳格化。①森林法における林地開発許可、②宅地造成・特定盛土等規制法の許可、③砂防三法(砂防法・地すべり等防止法・急傾斜地法)における許可―を申請要件とした。これらの要件は特に緊急性が高いことから、23年10月から前倒しで施行されている。
住民説明会を認定要件に
さらに周辺地域への影響に関する地域の懸念を解消するため、説明会の実施を認定要件とした。説明会が必要な電源は、(1)50kW以上の特別高圧・高圧電源、(2)出力50kW未満の低圧電源のうち、複数の電源が至近距離内に集合する場合、(3)もしくは周辺地域や周辺環境に影響を及ぼす可能性が高いエリアに設置する場合。(3)に該当するエリアは、▽許認可に必要なエリア(森林法・盛土法・砂防法)▽災害発生時に再エネ設備が損壊するリスクの高いエリア(土砂災害警戒区域・危険箇所)▽自然環境・景観保護エリア―などとなっている。
説明内容については、▽事業計画の内容(電源種・設置形態・出力規模など)▽関係法令の遵守状況▽土地権原取得状況▽事業に関する工事概要▽関係者情報▽周辺に及ぼす影響と予防措置―が必要となる。予防措置については、斜面への設置、盛土・切土、設備設計、地盤強度、施工後の管理の継続性、排水対策、法面保護・斜面崩落防止策について説明する。他に廃棄に関する情報として、廃棄等費用の総額、算定方法、積立開始時期・終了時期、毎月の積立金額の説明が求められる。
パネル廃棄時・違反時の措置にも言及
FIT/FIP制度支援期間中の太陽光パネルの更新・撤去についても規定が設けられた。更新に伴って不要となるパネルについては、タイミングによっては廃棄等費用が積み立てられない可能性があることから、廃棄等積立制度の解体等積立金を充てずに、個別に適切な廃棄を行うよう求めている。さらに増設に伴う廃棄等費用の不足分については、変更認定時に一括して外部積み立てを行うことを定めた。なお、適切な積み立てが行われていないと判明した場合は、変更認定が却下される。
その他のケースについても、認定された計画に違反した場合は指導・改善命令を行われ、改善されない場合は認定が取り消される。その間の交付金については、これまでは違反状態が続いている間も支払われていたが、違反状態の早期解消を促すため、一時的に交付を停止することとなった。停止期間中の交付金は違反状態が解消されるまで外部で積み立てられる。違反状態が解消された場合、または認定事業者が事業を廃止し、適切な設備の廃棄が確認された場合には、積立金を取り戻すことができる。
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