帝国データバンク(TDB、東京都新宿区)は12月5日、2023年11月の景気動向調査結果を公表した。景気DIは前月比0.1ポイント増の44.8となり、2カ月連続で改善した。国内景気は、個人消費関連が低調だったものの、インバウンド需要や活発な公共工事の下支えで小幅ながら改善が続く。今後の見通しは、「国内景気は、賃金動向に注視しつつも、設備投資やインバウンド需要の拡大」で、横ばいで推移するとみられるとした。
「建設」は47.8(前月比0.3ポイント増)で2カ月連続で改善。民間、公共ともに建設工事が増加しているといった声が聞かれたほか、人手不足感の高まりから受注単価が上向いているといった声も寄せられた。ただし、「全国各地で生じる職人不足や資材高騰などは構造的なマイナス要因として顕在し、時間外労働の上限が規制される2024年問題への対応も注視する必要がある」としている。
また、「不動産」は47.9(同0.8ポイント減)と悪化。「来店客数や売上額が新型コロナ前の2019年の水準に戻っている」(貸事務所)といった声もあるが、「引き合い物件は多いが、原材料が値上がりしていて工期の長いものは契約しづらい。納期が長いとメーカーも契約をためらっていて、対応が難しい」(貸家)、「労務費および材料費の高騰に加え、人手不足の影響も出ている」(不動産管理)、「金利上昇で特に低所得者層の購買意欲が減少したと感じる」(土地売買)といった声が目立つ。
先行きについては、大型工事の増加等をプラス材料とする意見もあるが、「建築費の高止まりで、家を建てられる人が減少」(木造建築工事)、「資材の高騰や、固定経費の増加に加え、インボイス・電子帳簿などに対応する人件費の増加などコスト増につながる規制強化が多すぎる」(内装工事)、「人手不足が深刻化しており、このままだと案件があっても受注できない。資材や人件費も高止まりし、価格に転嫁できるか不安」(一般土木建築工事)、「建設費の高騰により、民間での需要の低迷が予想される」(一般管工事)、「原価コストの上昇により利益が圧迫され、先行き不透明」(建物売買)、「建築資材の高騰などを背景とした住宅・商業施設建築の減少により、土地が動かない」(不動産代理業・仲介)といった意見が多かった。
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