全米リアルター協会(NAR)がこのほど発表した「中古住宅販売件数(Existing-home sales)」で、米国における中古住宅の販売件数が2010年8月以来、13年ぶりの低水準まで落ち込んだことが明らかになった。限られた在庫と住宅ローン金利の上昇による、中古住宅価格の高騰が背景にあるとみられる。
一戸建て・タウンホーム・コンドミニアム・コーポを含む米中古住宅販売総件数は、前月から4.1%減少し、379万件となった。前年同月の販売件数(444万件)と比較すると14.6%も減少しており、米中古住宅市場の落ち込みぶりが見て取れる。
中古住宅販売件数を地域別に見ると、横ばいとなった中西部を除く米国三つの地域において、前月比で減少した。それぞれの地域の販売件数は、北東部で48万件(前月比4.0%減・前年同月比15.8%減)、中西部で93万件(前月比横ばい・前年同月比13.9%減)、南部で169万件(前月比7.1%減・前年同月比14.6%減)、西部で69万件(前月比1.4%減・前年同月比14.8%減)となった。
米中古住宅販売価格の中央値は39.18万ドル(約5767万円)で、前年同月の37.88万ドル(約5575万円)から3.4%上昇した。米国4地域すべてで価格は上昇しており、住宅ローン金利の上昇と合わせて買い手には厳しい状況が続いている。
住宅在庫は115万件で、前月からは1.8%増加したが、前年同月の122万件からは5.7%減少した。現在の販売ペースで換算すると在庫は3.6か月分となり、前月の3.4か月分、前年同月の3.3か月分からはわずかに増加した。しかし、4.5か月分から6か月分が適切な住宅在庫であると考えられているため、依然として低い水準であるといえる。
販売に占める初回購入者の割合は28%で、前月の27%から微増、前年同月からは横ばいとなった。
全米リアルター協会のチーフエコノミストであるローレンス・ユン氏はリリースで、「住宅購入希望者にとっては、住宅在庫の持続的な不足と過去最高水準の住宅ローン金利により、今月も困難な月となった」と説明。一方で、「買い手にとっては依然として厳しい状況が続いているが、10月としては史上最高値を更新するなど前年比で(住宅)価格が上昇し続けているため、住宅の売り手にとっては好調に推移している」と指摘した。
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