国土交通省は12月1日、「第41回社会資本整備審議会産業分科会不動産部会」を開き、空き家対策の推進に向けた取組などについて、現状説明と今後の課題の検討を行った。
まず現状として、12月13日に施行される「改正空家対策特措法」(空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律)で定める空き家の中に、築年数が浅く状態が良いもの、流通・利活用に適したものも含まれると説明。その一方で、2023年2月に実施したアンケート調査(全国宅地建物取引業協会連合会)によると、空き家所有者の35.6%は、空き家を「放置している」、または「何も考えていない」と答えており、「不動産業者に利活用の相談をしている」は、5.6%に過ぎないことが明らかになっている。
このために利用目的のない空き家の多くが不動産市場に出ていない状況にあり、所有者へのアプローチの拡大や、不動産業者が空家所有者の相談先となるための施策が求められているとした。そこで官民一体で取り組む施策パッケージとして、「不動産業による空き家対策推進プログラム(仮称)」の策定を提案。2024年半ばに向けてプログラムを策定する考えを示した。
空家所有者に相談される不動産業へ
同プログラムでは、不動産業者が空家所有者の相談先となるための方策として、不動産業の全国的ネットワークを生かした相談体制の整備、地域活性化・移住・二地域居住・空き家対策などに取り組む自治体との連携強化、「空家等管理活用支援法人制度」の活用などを推進。不動産業者に向けた取り組みとして、「空き家管理業ガイドライン」の策定などを行う。
「空き家管理業ガイドライン」では、空家対策特措法の改正により空き家の所有者は、適切な管理を行わなければならなくなることから、第三者に空き家管理を委託するニーズが高まると想定。▽空き家管理の実施に求められる資質・モラル▽消費者への適切な情報提供▽管理委託における委託者の範囲▽保険加入(対象物件・管理業者)▽契約締結前の説明事項▽管理業務の留意事項▽適正な管理業務報告のあり方▽災害発生時の対応―などについてガイドラインにまとめる。
他にも、建物状況調査(インスペクション)の活用促進に向けて、宅地建物取引業法関係法令の見直しを検討。①共同住宅の重説対象となる建物状況調査結果の期間、②標準媒介契約約款、③宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方―について見直す考え。法令・通達の改正については2024年1月公布、4月施行を予定。リーフレット、Q&Aの作成・公表は同1月を予定している。
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