ドイツのPERIグループに属するPERI 3D Construction(ドイツ・ヴァイセンホルン)は、ヨーロッパ初の3Dプリンターによる公営集合住宅の建設を発表した。世界的に住宅のアフォーダビリティ(住宅の適正費用負担)の問題が深刻さを増す中で、低コストかつ短期間で住宅を建設できる3Dプリント建設にソリューションとしての期待が集まっている。
プロジェクトには、PERIグループが少数株主となっている建設用3DプリンターメーカーCOBOD(デンマーク・コペンハーゲン)製の3Dプリンターが使用される。PERIによるCOBODの3Dプリンターを使った建設プロジェクトは、ドイツ・バーデン=ヴュルテンベルク州のデータセンターと、ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州のサッカークラブハウスに続いて今年3件目。
今回建設される3Dプリント公営住宅は3階建てで、各階に2戸の合計6戸、61平米から81平米の住戸が入る。総建築面積は651平米。1階と2階は3Dコンクリートプリント工法で建設され、最上階には木造ハイブリット工法、基礎や土台には在来工法が使用される。
PERI 3D Constructionのマネージング・ディレクターであるFabian Meyer-Brötz氏はリリースで、「3Dプリンターがいかに早く、効率的に、かつ省資源で居住空間を作り出せるか、また集合住宅の分野でも可能性が広がっていることを改めて示すことができて嬉しく思います。私たちは、この技術が現代の建設現場、特に公営住宅プロジェクトで広く使用される準備がすでに整っていると確信しています」とコメントし、3Dプリント建設の有用性について改めて説明。
また、COBOD Internationalの創設者兼ゼネラル・マネージャーであるHenrik Lund-Nielsen氏は、「ここ数年3Dプリンティング技術は目覚ましい進歩を遂げ、1フロアの小規模な住宅だけでなく、複数フロアを持つ大規模なプロジェクトや、住宅市場外でも利用されるようになってきています。PERIが2023年にドイツで行ったプロジェクト(データセンター、サッカークラブハウス、そして今回の集合住宅を含む)は、この傾向を証明するものです」と、3D建設用プリンターが大規模プロジェクトでも活用可能であることを強調した。
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