日本政策金融公庫総合研究所が11月28日に公表した「小企業の雇用に関する調査」結果によると、従業員20人未満の建設業者の「従業員不足DI」は55.5%で、「運輸業」(56.3%)に次いで2番目に不足感が高かった。「不足」の割合は57.7%で、2021年以降3年連続で増えている。全産業の平均は38.5%の「不足」。
同調査は日本政策金融公庫と取引がある企業を対象に23年9月に実施したもので、有効回答数は6502企業。このうち建設業は808企業(構成比率12.4%)。
1年前と比較した従業員数の増減については、「増加」が12.6%、「変化なし」が66.4%、「減少」が21.0%となった。「減少」したと答えた企業が、22年度調査と比較して2.3ポイント増加した一方で、「増加」したと答えた企業も2.5ポイント増加している。今後、従業員を増やす方針の企業も、前回調査から7.1ポイント増加した。
人材定着に向け約4割が賃上げ
「給与水準DI」は38.0%で前回調査から8.0ポイント増加。実績では正社員1人当たりの所定内給与が、「上昇」(44.0%)、「変化なし」(53.3%)、「低下」2.7%となり、4割以上の企業で賃上げを実施した。賞与を含めた賃金の総額は、「増加」が41.5%、「変化なし」が51.2%、「低下」が7.3%となっている。産業全体を対象とした調査では、6割の企業が賃上げした理由に「人材の定着・確保」を挙げており、建設業者においても、人材の定着などを目的に賃上げに踏み切った企業が多数あったと考えられる。
一方、給与水準が「変わらなかった」「低下した」と答えた企業に理由(複数回答)を尋ねたところ、建設業では「利益が確保できていない」(66.8%)との回答が最も多く、次いで「借入金の返済を優先」(30.9%)、「同業他社と比べてすでに十分な水準だと考えている」(23.9%)が多かった。
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