【ドバイ時事】岸田文雄首相は1日午後(日本時間同)、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催中の国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)首脳級会合で演説した。温室効果ガスの排出削減対策を講じていない石炭火力発電所について「新規の国内建設を終了していく」と表明。新興・途上国に配慮し、脱炭素化と経済成長を両立させる重要性を訴えた。
日本の取り組みについて、首相は「徹底した省エネルギーと、再生可能エネルギーの主力電源化、原子力の活用などを通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図る」と強調。議長国のUAEが掲げる、世界全体の再エネ設備容量を2030年までに3倍にする目標に賛意を示した。
日本の技術を活用してアジア各国の脱炭素化を進める「アジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)」首脳会合を今月初めて開催すると説明。温室ガス排出を実質ゼロにする「ネットゼロ」実現は、経済成長やエネルギー安全保障と両立するよう、「多様な道筋」で目指すべきだと主張した。
産業革命前と比べて気温上昇を1.5度以内に抑える温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標にも言及。「世界はまだ道筋に乗っていない」として一層の取り組みを促した。
新興・途上国への対応を巡っては、世界銀行とアジア開発銀行(ADB)の融資拡大に向け、約90億ドル(約1.3兆円)規模の協力を明言。アフリカ開発銀行の新基金への支援も打ち出した。
◇首相演説ポイント
一、石炭火力発電の国内新設は原則終了
一、脱炭素化と経済成長を両立
一、省エネ、再エネ、原子力を活用
一、アジア、アフリカを融資・基金で支援
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