前回の屋根通気の話に続き、今回は外壁の通気層について解説する。現在、多くの新築住宅で外壁通気層が採用されている。しかし、通気層に求められる機能を理解し、適切に施工されている現場は案外少ないのが実情だ。
外壁の通気層を語るうえで、最初に触れておきたいのが、透湿防水シートだ。二次防水というもっとも重要な役割を担っているからだ。
透湿防水シートには、「防水」という名前が使われている。防水とは「不透水性材料の連続面を形成する」ということだ。つまり、面として連続することで初めて防水としての機能が果たされる。
連続性を保つ施工が求められるわけで、この施工に問題があれば、近い将来に雨漏りが発生するという重大な瑕疵を仕込んだことになってしまう。
しかし、そのような危機感を持たない施工者は残念ながら存在する。以前、現場で外壁の通気層の不具合について私が指摘した際、「外壁を張れば隠れるのだから」と稚拙な言い訳をした施工者がいた。
このような考え方で現場に立つ人間は、もはや施工者と言うべきではないと思う。自分が施工している内容についてよく考えることをせず、「いつものこと」と慣習的にルーチンワークとして繰り返すことで、自ら瑕疵を仕込んでいるケースもあるのではないだろうか。
透湿防水シートの性質と外壁通気層の機能を理解する
ともあれ、まずは連続面を形成する透湿防水シートについての良し悪しが重要になる。透水性と防水性という相反しそうな機能を両立させるため、各メーカーの製品には、素材や製造法のそれぞれに違いがある。
そもそも、透湿防水シートの透湿性は・・・
この記事は新建ハウジング11月30日号4・5面(2023年11月30日発行)に掲載しています。
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