ルームクリップ(東京都渋谷区)は11月28日、住まいと暮らしの年間トレンドを選出する「ルームクリップアワード2023」をオンラインと会場のハイブリッド形式で開催した。今年は約600万枚の投稿写真の中から、「キーワード部門」第1位に「色のある暮らし」が選ばれた。併せてこの1年間で注目を集めた製品に贈られる「ベストプロダクト」と、翌年の「トレンド予測」も発表した。
「ルームクリップアワード」は、同社が運営するインテリア実例共有サイト「RoomClip(ルームクリップ)」に投稿されたインテリアの実例写真と、その写真に付与されたタグ、いいね、コメント、検索キーワードなどのデータを定量・定性的に分析し、注目されたもしくは今後注目されると予想されるキーワードや商品を選出するもの。2015年から開催し、今年で9回目を数える。
2023年の「キーワード部門」第1位は、カラフルな色を生活に取り込む「色のある暮らし」。ルームクリップでは22年以降に「色」「カラフル」を含むタグが、20年比で1.5倍程度増加。コロナ禍に花や植物を部屋に取り入れる動きが加速したのを機に「色のある暮らし」のトレンドが始まっている。そして22年は「推しカラー」「推しグッズ」、23年では「タフティング」(ラグマット)や壁紙などで色を取り入れる流れができた。色に関連するキーワードとしては他に、「レトロポップ」「昭和レトロ」などがあった。
また、川本所長は「ここ5年間ぐらいの住まいのトレンドは、コロナ禍のステイホームで『こもる』がキーワードとなっていたが、23年は脱コロナにより明るいキーワードが伸びたというのが象徴的だった」とコメントした。
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第2位は「省エネ断熱」。電気代の高騰がきっかけとなり、「節電」に関わる検索が増加した。電気代の高騰が落ち着いた後も、節電への意識は高いまま推移している。タグでは「電気代高すぎ」「電気代対策」「電気代節約生活」などが散見。さらに断熱の手段として「ボード」「カーテン」「二重窓」「サンシェード」「断熱リフォーム」などのキーワードが盛り上がった。
3位は「ゲーミング部屋」。ゲームへの関心が上昇傾向にある中、コロナ禍以降の新しいゲームスタイルとして、身体を動かすための空間をテレビの前に確保するケースが増えている。他に、ゲーム配信を前提とした一人部屋や、家族の人数分の機材が揃ったファミリーゲーミング部屋をリビングに作る傾向なども見られるようになった。
4位以降は、▽4位:特定の物を収納する「専用収納テク」、▽5位:ペット関連のIoT家電「ペットテック」、▽6位:汚れ物専用シンク「スロップシンク」、▽7位:脱マスクで注目「パウダーコーナー」、▽8位:限られたシーンで利用される「スポット家電」、▽9位:SNS世代の高年齢化に伴う「孫のいる暮らし」、▽10位:部屋を緩やかに仕切る「室内窓」―となっている。
プロダクト部門にTOTO「洗濯用流し」など
暮らしを支えたプロダクトに贈られる「プロダクト部門」では、TOTOの汚れ物専用シンク『洗濯用流し』(SK507)、ReFa(リファ)の節水シャワーヘッド『リファファインバブルS』、リンナイのフロントオープンタイプ食器洗い乾燥機『ステンレスドア』、Phillips Hue(フィリップスヒュー)のスマート照明『Phillips Hue シリーズ』など、11商品が選出された。
TOTOの汚れ物専用シンク『洗濯用流し』(SK507)は、水回りの分離トレンドが見られる中で、採用例が増加する代表的なプロダクト。ランドリールーム、玄関に設置される業務用のスロップシンクで、キーワードランキングでも6位にランクインした。
24年のトレンドは「ZEH」
2024年のトレンド予測では、「ZEH」「ホームパーティ」「介護とインテリアの両立」を予想。「ZEH」について水上研究員は、「節電意識のたどり着く先がZEH。政府が普及を後押ししている状況もあいまって一気に高まるだろう」とコメントした。
また、「介護とインテリアの両立」については「50代、60代になったSNSユーザーが介護の話題をし始めている。介護用品とインテリアの両立は難しいことから、オーダーメイドで介護用品ではない製品を活用し、見た目を整えるニーズが増えるだろう」と予想した。
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