住友林業(東京都千代田区)は11月27日、インドネシア・ジャカルタ近郊ボゴール市において、太陽光パネル標準搭載の戸建て分譲住宅151戸を建設・販売すると発表した。2024年12月着工、2025年に竣工予定。日本企業が同国の戸建て分譲住宅に太陽光パネルを標準搭載するのは初めてだという。
現地不動産開発会社 PT Olympic Bangun Persada(OBP社)と協業し、生活動線や収納スペースなど日本での住宅事業の知見を生かした間取りを提案。自然の恵みを生かす「涼温房」の設計手法に基づいた、深い庇・軒による日射遮蔽、自然通風や植栽を活用した温度調整などによって快適な住環境を創出する。さらに、今回標準搭載した太陽光パネルによる創エネで、暮らすときのCO2排出量(オペレーショナルカーボン)を抑制。製造過程でも環境負荷の少ないオートクレーブ気泡コンクリートブロックを採用し、建てるときのCO2排出量(エンボディドカーボン)を抑制する。これらの取り組みを進め、建築の環境性能を評価する「EDGE認証」取得も目指す。
ボゴール市はジャカルタ中心部から南に約40kmの立地で、ジャカルタ市内に通勤圏内の交通利便性と快適な居住環境が注目を集めている。今回は、家具製造流通会社工場跡地の再開発に伴い、約3.2haの土地に戸建て分譲住宅151戸を開発。ジャカルタ中心部へ通勤・通学するファミリー層向けに2024年8月から販売を開始し、2027年中の引渡完了を目指す。
同社グループのPT. Sumitomo Forestry IndonesiaとOBP社が11月に設立した合弁事業(JV)会社が開発主体となる。OBP社は、同社の木材建材事業で取引があるインドネシアの大手家具製造流通会社のオーナーらが運営しており、同プロジェクトを皮切りに不動産開発の協業を拡大する。
同社は、急激な経済発展で旺盛な住宅需要が見込める同国に、都市部の交通渋滞や水質汚濁等の課題解決にむけた安心・安全な住まいを提供。深い庇や軒を活用した省エネ設計や、LED照明、節水トイレ等のエコ建材によって、エンボディドカーボンとオペレーショナルカーボンの削減に取り組んでいる。今回のプロジェクトはブカシ市、マカッサル市、デポック市に続く第4弾で、海外分譲住宅販売で初めて太陽光パネルを標準搭載した。2024年着工予定のデポック市の戸建て分譲住宅にも太陽光パネルの標準搭載を決定するなど、今後も脱炭素に向けた取り組みを加速。住環境の向上と同国政府の目標達成に貢献するとしている。
同社は2017年から同国での戸建て分譲住宅開発プロジェクトに取り組み、累計開発戸数は1162戸。収益事業としてだけでなく、環境配慮型の開発、自然環境を生かしたマスタープランの提案、同社の設計・施工技術の導入なども行っている。また、森林・泥炭地等管理事業では、政府と協力して熱帯泥炭地の管理に取り組むほか、IHIと協業して地上データと航空観測技術をかけあわせた次世代の森林管理技術の開発を進めている。
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