東京商工リサーチ(東京都千代田区)は11月22日、第3回「雇用調整助成金」(雇調金)不正受給企業調査の結果を発表した。全国の労働局が10月31日までに公表した雇調金等の不正受給は累計803件、799社(個人企業含む)に達し、不正受給金額は総額243億4940万円となった。前回調査(8月31日公表分)から新たに133件公表され、10月は月次最多の97件となった。時間経過とともに不正発覚が増加している。
産業別では、建設業が75社(構成比12.7%)で、サービス業他259社(同44.1%)に次ぐ多さ。不動産業は19社(3.2%)だった。業種別では、建設業(75社)が最多の飲食業(79社)と僅差で並んだ。9月、10月は全産業で不正受給の公表企業があり、業種も拡大している。
コロナ禍での雇用維持のため、従業員への休業手当を助成する雇調金だったが、迅速な支援実現のため手続きを簡素化したことなどから「申請誤り」や「不正」による支給決定取消が9月末時点で2263件発生。不正受給が判明し、悪質だとして社名や受給額等が公表された企業は、2022年6月(15件)以降右肩上がりで推移している。不正受給の内訳は「雇調金」だけの受給が半数以上(432件、53.7%)で、パート・アルバイトなどの休業に支給される「緊急雇用安定助成金」のみは127件(15.8%)。両方を受給したケースは3割にのぼる。各都道府県の労働局は遡及調査に注力しており、支給決定取消と不正企業の公表社数は今後も増えるとみられる。
同社は、各企業がコロナ禍の雇用維持を耐えたなか、不正受給は公平性の観点からも許されるものではなく、制度維持のためにも厳正に対応すべきだとしている。
同調査は、不正受給を公表された799社のうち同社企業DBに登録された586社を対象に分析した。
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