東日本大震災で大きな被害を受けた女川町宿泊村協同組合(宮城県牡鹿郡女川町)は12月27日、トレーラーハウスを活用した全64室から成る宿泊村「El faro(エルファロ)」の開村式を開催、28日から営業を始めた。
同協同組合は、経営していた旅館が津波によって全壊した4人の旅館オーナーが集まって2011年10月に設立。開村式で佐々木里子理事長は「エルファロとはスペイン語で灯台の意味。被災地で苦しんでいる人たちを照らしていける存在になれればいいなと思っています」(抜粋)と挨拶した。
町の8割が震災で壊滅した女川町では、平地のほどんどに建築制限がかかっている。高台には仮設住宅や仮設の町役場・商店街がすでにあり、今回のような宿泊施設の用地確保が大きな課題となっていた。そんななか、トレーラーハウスであれば建築物としてみなされないため、自治体の承認を得て町営住宅跡地への「設置」が実現した。
またトレーラーハウスには、基礎工事・解体工事の際に廃棄物が発生せず、女川町の都市計画や復旧・復興の状況に応じて場所を移動しても営業ができるといったメリットもある。
エルファロは日本RV輸入協会(東京都台東区)の協力もと、耐震性・耐火性・耐久性・快適性に優れた寒冷地仕様の車両を採用。施設単体での売上げ・雇用促進をめざすのではなく、町全体としての機能向上と経済効果につなげたい考え。すでに年末年始の予約も入っているという。
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