国土交通省は11月17日、建設資材の需要動向や各資材業界の業況などの情報交換を行うことを目的とした2023年度「建設資材需要連絡会合同会議」を、オンラインで開催した。
2023年度の主要建材需要見通しは、前年度比2.2%の増加で、このうち建築部門は0.6%の増加、土木部門は4.9%の増加となる予想。木材は昨年度実績値と比べて増加するが、それ以外の資材は前年度を下回ると予測している。内訳は、「セメント」3700万トン(前年度比0.8%減)、「生コンクリート」7300万㎥(同2.0%減)、「木材」900万㎥(同5.4%増)、「普通鋼鋼材」1700万トン(同2.7%減)、「アスファルト」90万トン(同8.0%減)となっている。(国交省)
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本年度の主要建材需要見通し――木材以外は減少
需要が増加している主要木材の入荷量(2023年1月~9月)は、丸太は国産が1205万㎥(同13%減)、輸入が158万㎥(同19%減)、製材品は国内製造が609万㎥(同8%減)、輸入が243万㎥(同38%減)、合板は国内製造が184万㎥(同20%減)、輸入が100万㎥(同26%減)、構造用集成材は輸入が41㎥(同45%減)となっている。(林野庁)
セメントの国内需給については、2023年度上期は前年同期比121万トン(6.5%)減の1739万トンとなる見通し。地区別では沖縄を除いてすべてマイナスだった。通期では前年並みであれば3700万トンとなる見通しだが、場合によっては3600万トンを割り込む可能性もある。セメントの需要減少の要因については、慢性的要因では人手不足、建設コストの上昇、工期の長期化などが考えられる。(セメント協会)
鉄鋼の需給状況は、2023年9月の粗鋼生産が前年同月比1.8%減の703万トンと、2カ月連続の前年水準割れとなった。普通鋼の生産は483万トン(同2.4%増)、国内向け出荷は322万トン(同1.8%増)、輸出向け出荷は195万トン(同18.8%増)、在庫は517万トン(前月比13万トン減)となった。国内向けの出荷は4カ月連続の増加となっている。(鉄鋼連盟)
アスファルトは、2022年に製造数量が4000万トンの大台を割り込んで3880万トンとなり、過去最低となった。再生合材の製造割合は2005年から70%台で推移している。(日本アスファルト合材協会)
価格上昇の要因は人件費
経済調査会(東京都港区)の分析によると、2023年の建設資材価格の動向は、建設資材価格は2021年には26%増、2022年は7%増、2023年は2%増となるなど、上昇幅が年々縮小。騰落を繰り返しながら高値のまま推移する傾向が見られる。また、2021年にはほとんどの資材の価格が大幅に上昇、あるいは横ばいながらも強含みだった。価格が上昇した要因については、これまでは原材料高だったが、現在は人件費、電力などのエネルギーコスト、運搬費の上昇が影響している。
2023年の都内における主な品目の価格は、「異形棒鋼(D16)」0.9%減、「H形鋼(細幅200)」2.4%減、「セメント(普通ボルト・バラ)」23.4%増、「生コン」9.3%増、「コンクリート用砕石」3.0%増、「U形側溝(300B)」11.6%増、「ヒューム管」10.6%増、「杉正角材」17.9%減、「アスファルト混合物」3.1%減、「塩ビ管(VP50㎜)」増減なし―などとなっている。
建設資材価格指数、4カ月ぶりにマイナス
また、経済調査会が別途公表した主要資材の価格動向によると、建設資材価格指数は4カ月ぶりにマイナスに。37カ月連続で上昇を続けてきた土木指数がマイナスに転じ、3年ぶりに総合・建築・土木の3指数すべてで前月比マイナスとなった。
品種別では、普通鋼鋼材や木材が流通側の価格競合により下落。これまで指数の上昇圧力となっていた生コンクリートは、生コン協組の値上げが一巡したことにより横ばいとなった。都市別では、広島以外の主要7都市で前月比マイナスに。「札幌」(-0.1)、「仙台」(-0.2)、「東京」(-0.7)、「名古屋」(-0.5)、「大阪」(-0.2)、「福岡」(-0.1)となった。「広島」は(+0.1)。万博関連需要により大阪が全国最高値となっている。
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