東京商工リサーチ(東京都千代田区)は11月18日、10月1日にスタートしたインボイス制度の登録件数が、10月単月では過去最多の29万1875件、累計では406万5616件に達したと発表した。個人事業主の登録手続きが進捗した結果とみられる。
10月は法人の登録件数が減少したものの、個人事業主は月間最多の22万6346件となり、全体を押し上げた。課税売上高1000万円未満の個人事業主は、消費税の納付義務のない「免税事業者」が多く、納付義務が生じるインボイス制度への登録が伸び悩んでいたが、8月以降は急速に進んだ。取引先からの登録要請や制度の浸透などから駆け込み申請が急増し、9月の登録件数は16万4424件と過去2番目の高水準となった。
一方、法人は2022年11月には月間最多を記録。2023年5月以降、6カ月連続で月間10万件を下回り、登録を予定していた大半が登録完了したとみられる。
インボイス制度開始後、請求書発行や領収書の処理が本格化するなか、要件を満たさない領収書・請求書や、会計システム上の想定外のエラー、11月から課税事業者へ登録する事業者への免税・課税の処理など、経理担当者の負担が増加。また、飲食店やタクシー、貸駐車場などでは、一時的なサービス利用後に登録事業者でないことが判明し、経費の精算が必要となるなど、混乱が生じているという。
同社は、その一方で「インボイス登録済」を積極的にPRする事業者も多く、「付加価値」の側面すら帯びていると指摘している。
同調査は、国税庁の適格請求書発行事業者サイトの公表データを基に、同社が集計・分析した。
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