国土交通省は11月17日、2023年第3四半期(7月1日~10月1日)の「地価LOOKレポート」を公表した。主要都市(全国80地区)の高度利用地などにおける地価動向を調査したもの。景気が緩やかに回復する中、すべての地区で4期連続上昇または横ばいとなった。このうち住宅地では、23地区のすべてが6期連続で上昇している。
全80地区のうち、地価が上昇したのは78地区(前回74)、横ばいは2地区(同6)、下落は無し。 上昇地区78区のうち、3地区は3~6%、75地区は0~3%上昇した。横ばいは、東京都江東区青海・台場と立川市。
このうち住宅地は、23地区全区で上昇。変動率区分が上方に移行した地区は無く、福岡市大濠のみ上昇6%~から3~6%に移行した。福岡市大濠は、今期は上昇率が下がったが、23年第1四半期から2期連続で6%以上上昇していた。今期も土地価格や建設資材価格などの高騰による建築費上昇分の転嫁の影響を受けることなく、マンション販売実績は依然として高い水準を維持している。
その他の地区では、札幌市中央区宮の森、仙台市青葉区錦町、さいたま市中央区新都心、東京都中央区佃・月島、名古屋市東区大曽根、大阪市福島区福島、広島市中区白島などで上昇が継続している。
商業地55地区で上昇 店舗需要回復
一方、商業地では55地区(前回51)が上昇、2地区(同6)が横ばいだった。このうち東京都中央区銀座中央は0~3%から3~6%の区分に移行。東京都千代田区丸の内、有楽町・日比谷、港区六本木、品川駅東口周辺は横ばいから0~3%に転じた。人流の回復を受けて、店舗需要が回復したほか、東京都心部でオフィス需要が持ち直している。都心以外では、京都市下京区(京都駅周辺)で、3~6%の上昇が見られた。
中央区銀座中央の地価上昇は、ラグジュアリーブランドや宝飾品、高級時計などの高額商品を扱う百貨店や商業施設の好調によるもの。国内の富裕層だけでなく、台湾・韓国・香港などの東南アジアや欧米からの外国人観光客による消費が旺盛な状況となっている。賃貸市場では、飲食や物販テナントによる出店への引き合いが回復し、空中階や規模が大きい物件でも成約するケースが見られた。
京都市下京区は、既存の老朽化したビルで入居テナントの募集が苦戦しているが、外国人観光客の増加により、京都駅周辺ホテルの稼働率が高まっている。飲食店舗・土産物などの物販店舗の出店意欲も強く、店舗賃料は高値で安定している。
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