厚生労働省は11月20日、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の部会を開いた。労災保険に加入できるフリーランスの対象を大幅に拡充し、原則全業種とする方針だ。働き方の多様化を受け、フリーランスが安心して働ける環境を整備する。2024年秋までの適用開始を目指す。
労災保険は、企業に雇われている労働者が業務や通勤で事故などに遭った際、給付金を受け取れる国の制度。保険料は全額企業が負担する。中小企業の事業主や一部業種のフリーランスも、希望者は保険料を払えば入れる特別加入制度がある。
今回の見直しでは、企業からの業務委託を受けて働くフリーランスは原則全員を特別加入の対象とする方向だ。政府の調査では、フリーランスは国内に462万人おり、このうち業務委託で仕事をする人は約273万人いると試算する。
特別加入の対象はこれまで、業種ごとに追加してきた。21年に「アニメーション制作従事者」や「自転車配達員」「ITフリーランス」、22年に「歯科技工士」などが加わった。
今年4月、フリーランスとの取引適正化のための新法が成立。付帯決議で、企業の業務委託で働くフリーランスが希望すればすべて加入できるよう、特別加入制度の対象範囲拡大を盛り込み、厚労省が対応を検討してきた。
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