2025年大阪・関西万博の会場外縁を丸く取り囲むように建設が進んでいる巨大な木造の大屋根(リング)について、閉幕後に解体する方針を見直し、現地に保存する案や一部を再利用する案が関係者の間で浮上している。会場建設費が2350億円に上振れする中、350億円とされるリングの費用にも、一部で「無駄遣い」との批判が上がっているためだ。
リングは1周約2キロ、高さ12~20メートル、幅約30メートル。日よけや雨よけとなるほか、屋根の上を歩いて希望するパビリオンに向かうこともできる。完成すれば世界最大級の木造建築となり、政府は万博会場のシンボルとしてアピールしたい考えだ。
会場のデザインを担う建築家の藤本壮介氏は14日、大阪市で開かれた万博参加国の会議で「リングを会場に保存するか、移設する選択肢もある。一部を再利用して公共施設や商業用途で使うこともできる」と表明。16日には、大阪府の吉村洋文知事がリングについて「国内外から高い評価を受け、残すべきだとの意見も多く出ると思う」と述べ、保存に前向きな考えを示した。政府関係者は「保存するかどうかは大阪府・市が判断する」としている。
リングを巡っては、17日の衆院内閣委員会で立憲民主党議員らが「万博のシンボルどころか無駄遣いのシンボルだ」と追及。建設取りやめを求める声もある。これに対し、西村康稔経済産業相は同日の閣議後記者会見で、リングが20年12月に決定した基本計画に盛り込まれているとした上で「最終的に決定されたものだ」とし、整備する方針に変更はないと強調した。
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