帝国データバンク(東京都港区)は11月14日、1-10月の「人手不足倒産の動向調査」の結果を発表した。10月の人手不足倒産は29件で、年間累計は206件に達した。人手不足割合はコロナ禍前と同等のレベルまで上昇し、高止まりが続いている。10月時点で年間ベースの過去最多を更新し、2014年以降初めて200件を上回る高水準となった。
業種別では、建設業が77件、物流業が32件で、2業種だけで全体の52.9%(109件)を占めた。2024年4月から時間外労働の上限規制が適用される両業種において、「2024年問題」が顕在化した格好となる。企業からは「仕事はあるが慢性的な人手不足のため受注することに躊躇している」(一般管工事)という声が寄せられるなど、すでに厳しい局面にあり、動向を注視する必要があるとした。
業歴別では、約4割にあたる84件が「30年以上」だった。従業員数別では「10人未満」の小規模事業者が約75%と大半を占めており、1人の退職ダメージが大きいことが原因と考えられる。
コロナ禍で経済活動が止まり、一時的に人手不足は緩和されたが、景況感の回復に伴い人手不足割合は再び上昇している。物価高など各種コストが高騰し、人件費に割ける余力がないケースもみられるなか、人手不足割合の高止まりが続いた場合、今後さらに人手不足倒産が増加する可能性があるとしている。
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