日本政策金融公庫が11月2日公表した「第218回信用保証利用企業動向調査」の結果によると、2023年7~9月期に経営環境で直面していた課題(複数回答)は、建設業では「人手不足・人件費上昇」が63.3%で1位となり、最も深刻な問題として捉えられている。2位は「エネルギー・原材料価格等の高騰」(57.7%)、3位は「売上・受注の停滞、減少」(43.0%)。
同調査は、全国9箇所の信用保証協会の利用先1万6000企業を対象に実施した調査で、調査期間は 2023年9月中旬。有効回答企業数は4125企業。このうち建設業は944社(22.9%)。※以下の調査結果はすべて業種別(建設業)の数値
資金繰り(実績)については、前回調査と比べて「好転」は10.7%、「不変」は66.7%、「悪化」は22.6%だった。資金繰りの難易感(実績)については、「容易になった」7.0%、「変わらない」81.8%、「難しくなった」11.2%となっている。次期(同10~12月期)の資金繰り予測については、「好転する」11.8%、「変わらない」68.8%、「悪化する」19.5%と予測。また、ゼロゼロ融資の借入状況は「利用中(元金返済中)」69.2%、「同(元金返済未開始)」21.9%、「完済した」8.8%となっている。
約半数「後継者育成に課題」
事業承継に関する特別調査では、後継者について「決まっている」が42.7%、「候補がいる」は27.5%、「候補者がいない」は28.1%、「第三者に譲渡予定」は1.7%と回答。事業承継の時期については、「時期は未定」が最多で19.6%。次いで「まだ考えていない」19.3%、「5~10年以内」19.1%など、具体的な時期が定まっていない企業が多かった。事業承継に関する課題については、「後継者の育成」が最多で54.0%。次いで「取引先との関係維持」26.6%、「後継者の選定・確保」25.2%と続いた。
一方、自分の世代で廃業を予定している企業(建設業の8.8%)にその理由を尋ねたところ、「もと もと自分の代で廃業予定だった」61.3%、「適当な後継者が見つからない」31.3%、「従業員が確保できない」「現在の事業に将来性がない」各21.3%との回答が多かった。
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