オービックビジネスコンサルタント(OBC、東京都新宿区)はこのほど、10月1日に施行されたインボイス制度の影響について、企業の経理担当者600名に対して実施した実態調査の結果を発表した。調査期間は10月10日~11日。インボイス制度施行後、経理業務の中で「とてもストレスを感じるようになった」と回答したのは35.0%だった。「ややストレスを感じるようになった」(41.5%)と合わせると、76.5%が精神的ストレスが高まったと感じていることがわかった。年齢別では、「とてもストレスを感じる」割合は40代が43.3%と最も高く、次いで30代の41.4%が続いた。
施行後初の月末(10月末)を迎えるにあたり、不安を感じる業務があるか聞いたところ、「不安がある」経理担当者は79.5%にのぼった。最も不安に感じている業務は「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」(51.7%)で、「発行する適格請求書の記載要件チェック」(45.8%)、「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」(41.0%)が続いた。これは、「施行後に負担が増えた業務」と同順位で、実務レベルの負担が不安につながっていると考えられる。
なお、施行後に負担が増えた経理業務は、1位「適格請求書発行事業者と免税事業者等の管理」(50.8%)、2位「発行する適格請求書の記載要件チェック」(48.8%)、3位「取引先ごとの消費税額と消費税区分のチェック」(38.7%)だった。
施行後、経理業務の効率化・自動化の必要性を「感じる」は26.5%、「やや感じる」は40.3%となり、全体の66.8%が経理現場の改善が必要だと考えていることがわかった。月末を残業することなく迎えられるかは、45.5%が「いいえ」と回答している。制度施行に向けて、「十分に準備ができた」のは34.2%で、「あまり準備ができていなかった」(55.5%)、「全く準備ができていなかった」(10.3%)と6割以上が十分な対策がとれていなかったことが判明した。
政府によるインボイス制度の説明について、約8割が不満を持っており(「不満を持っている」41.5%、「やや不満を持っている」35.0%)、約2人に1人が説明を理解できていない(「理解できていない」13.7%、「あまり理解できていない」34.2%)実情が浮き彫りとなった。年齢別では、政府の説明に「不満を持っている」は40代(47.0%)、「やや不満を持っている」では20代(42.3%)の割合が最も高く、現場責任者や経理業務に従事したばかりの若手が不満を持っていることがうかがえる結果となった。
施行後の経理業務の不満は、1位が「複雑な業務の増加」(57.7%)、2位が「業務時間の増加」(44.0%)、3位が「(制度に関して)社内の周知不足」(35.8%)だった。業務の変化や体制の構築に、各企業の経理担当者が苦戦していることがうかがえる。また、約6割の経理現場では、制度に関する業務を相談・解決できる社内体制が整っていないことがわかった。
電帳法にも不安
来年1月から義務化される電子帳簿保存法(電子取引における電子データ保存の義務化)に対して、インボイス制度と同様に「不安を抱えている」経理担当者は75.8%にのぼった。最も不安に感じている業務は「データの整理と保存要件」(49.8%)で、次いで「適切な電子帳簿保存システムの選定」(30.2%)、「経理担当者のトレーニングと教育」(28.8%)が続く。慣れない業務への対応や、新制度に適応するための社内体制に不安を感じていることがうかがえる結果となった。
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