消費税のインボイス制度に反対する「インボイス制度を考えるフリーランスの会」が11月13日、制度開始から1カ月後に実施した緊急調査の結果を公表した。これによると、インボイス制度の導入について「事業・仕事の見通しは悪い」「廃業・退職・異動を検討中」または「廃業・退職・異動した」と答えた人が合わせて7割に上っている。
同調査は2023年10月31日から11月7日までの期間にインターネット上で実施されたもので、有効回答数は2868件。回答者のうち約7割が個人事業主やフリーランス(うち建設関係は4.6%)、約3割が会社員となっている。このうちインボイス制度に未登録の人は約6割。年商別では年間1000万円以下の事業者が約6割を占めている。
インボイス制度によって生じた取引や業務などの変化については、全体のうち52.4%が「経理事務負担が増えた」と回答。35.7%が「社内外への説明や交渉などの業務負担が増えた」、34.5%が「消費税の負担増や値引きによって手取りが減る」と回答した。
今後の見通しなどについては、「廃業や退職・異動はしないが、事業・仕事の見通しは悪い」(55.4%)が約半数に上り、「廃業を検討している」(7.1%)、「勤務先の退職・異動を検討している」(4.1%)などの回答も見られた。「事業・仕事の継続に問題はない」は25.5%で、約4分の1を占めたが、自由回答として「経過措置が終わったあとが不安」との声もあったという。
調査では、免税事業者に対する一方的な値下げや取引排除の事例も報告され、その中には 「着服、ネコババし続けるつもりか」「脱税の手伝いはできないからちゃんとしろ」など誹謗中傷の事例が複数あったことも分かった。
「制度が複雑」との指摘もある中、相談先の有無については約半数に当たる48.8%が「相談先はない」と回答。「顧問税理士や会計士」「商工会議所・青色申告会」といった専門家を挙げたのは3割程度だった。また、「相談先はない」と答えた人の約7割(74.2%)は年商1000万円以下の事業者だった。他に自由回答として、「税務署の担当者によって言うことが異なる」との回答も見られ、各所で新制度への対応により混乱が生じている様子がうかがえる。
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