リフォーム会社を経営するTさんが新人の現場監督だった頃の話だ。リフォームの現場に、見込み客が見学に来た。床下の構造の金物について質問されたのだが「わかりません」とやり過ごし、話を変えてごまかしてしまった。結局、その見込み客は「勉強不足で不安だ」と他社に行くことに…。
Tさんは今でもその失敗を折に触れて思い出しては反省するという。それは今から30年前、住宅会社のリフォーム部門で現場監督として勤務していたときのことだ。
Tさんはようやくひとりで現場を担当することになったばかり。ベテランの親方に怒られつつ、なんとか現場を回すことに一生懸命だった。
ある日、現場に見込み客が見学に来るという。キッチンを交換してダイニングも内装をリニューアルするという現場だったので、質問に備えて、採用したキッチンの特長や、内装材の種類などについて、あらためて確認して準備万端、のはずだったのだが…。
「それはちょっとわかりません」とやり過ごしたが…
見学当日、その見込み客は、既存のキッチンを撤去したあとの床下を覗き込み、「あの金物は何のためについているのですか?」とTさんに聞いた。前日に勉強しておいたことではないことを聞かれて、Tさんは動揺。見込み客が指し示す金物は、見たこともあるし、名前もわかるものの、「何のために」と問われると、きちんと説明できない。
言葉に詰まったTさんは「それはちょっとわかりません…。大工が補強のために付けたものだと思います」とやり過ごした。そして「それより、お客様はどんなキッチンを希望されていますか?」と話を変えて、ごまかしたのだが・・・
この記事は新建ハウジング11月20日号10面(2023年11月20日発行)に掲載しています。
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