帝国データバンク(東京都港区)は11月6日、2023年10月の景気動向調査結果を公表した。景気DI は前月比0.3 ポイント増の44.7となり、3カ月ぶりに改善した。活発な各種イベントやインバウンド需要に加えて半導体関連などがプラス材料となり、全10業界中9業界で改善。規模別では「大企業」「中小企業」「小規模企業」が5カ月ぶりにそろって改善した。
「建設」は47.5(前月比0.4ポイント増)で3カ月ぶりに改善。ただし、「物価高や人手不足、燃料価格の高騰などによる影響」(一般土木建築工事)、「公共事業が少なく、前年と比較してかなり減っている印象。現在も発注がほとんどない」(給排水・衛生設備工事)、「建築資材の高騰や金利上昇の気配などで注文住宅の顧客に不利な状況」(建築工事)、「建築資材の高騰の継続と運転手不足による配送問題」(内装工事)など厳しい意見が多かった。
また、「不動産」は48.7(同0.2ポイント増)で小幅ながら改善。「不動産市況が高値でありながら需給のバランスが保たれている」(建物売買)、「賃貸はやや動きが鈍いが、売買は投資用物件に関して円安と低金利による旺盛な外需で堅調である」(貸家)といった声の一方、「材料高が価格に転嫁され顧客の予算を超過してきた」(不動産代理業・仲介)、「建築コストや土地価格の上昇による販売価格の高騰にエンドユーザーがついてきていない」(土地売買)など、コスト高の影響を指摘する声が目立った。
先行きについては、「材料費など仕入価格は高いが、受注金額に反映されているため売り上げは増加」(鉄骨工事)、「不動産価格はピークを迎えたが、レバレッジと相続対策での引き合いは続く見通し」(不動産管理)、「地域開発が進んできている。新たな人の流れが景気に好影響を与えてくれることを期待」(貸事務所)など、プラスの意見もある一方、「人材不足による原価高騰は続く」(一般管工事)、「工事費に価格転嫁できない状況が続く見通し。
大手企業は価格の上乗せができるが、自社の方まで回らない」(冷暖房設備工事)、「資材価格やエネルギー価格、土地価格の高騰で新築住宅を購入できる層が狭まっている」(木造建築工事)、「住宅ローン金利の上昇の兆しがあり、建築資材が再度高騰する予感もする。また、建築規制が厳しくなることで、さらなる資材のコストアップも生じる」(建物売買)など、各方面のコストアップをマイナス要因に挙げる意見が根強い。
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