いえらぶGROUP(東京都新宿区)はこのほど、不動産会社の従業員などを対象に「電子帳簿保存法(電帳法)とペーパーレスへの対応状況調査」を実施した。2022年1月に電帳法が改正され、2024年1月から電子取引データ(請求書・領収書などのデータ)の保存が基本的に義務化されることを知っているか聞いたところ、46.4%が「知っている」と回答。業種別では、賃貸管理会社が52.8%、賃貸仲介会社が42.5%、売買仲介会社が43.8%となり、認知度に10%以上の差があることがわかった。賃貸管理会社は、賃貸借契約書や管理委託契約書など管理する帳票が多いことが影響しているとみられる。
請求書の発行形式は、「紙のみで発行している」が42.0%、「電子・紙の両方で発行している」が48.8%となり、不動産会社の90.8%が請求書を紙で発行していた。「電子のみで発行している」は3.5%だった。日本で根強く残る紙文化・ハンコ文化に加え、取引先との調整が必要なことから、書面の電子化が進んでいないとみられる。同社が5月に実施した調査では、電子契約を導入している賃貸管理会社は13.7%で、不動産業界のペーパーレス化の遅れが明らかとなった。
今後の請求書の電子化の予定については、「すでに電子で発行している」が20.2%、「予定している」が14.8%、「検討している」が29.4%となり、あわせて64.4%が前向きな回答となった。特に、管理する帳票が多い賃貸管理会社ではペーパーレスへの意向が強く、71.5%が電子化に前向きだった。
一方、電子化しない理由については、「必要性を感じないから」が54.4%で最も多く、「取引先との調整が必要だから」(26.3%)、「やり方が分からないから」(22.8%)が続いた。特に1~4名の小規模な不動産会社では「必要性を感じない」が63.9%にのぼる。同社が行った電子契約の普及に関する調査でも同様の結果が出ており、小規模な会社では扱う書類の量が相対的に少ないためと推測される。
2023年9月14日~24日。対象は「いえらぶCLOUD」を利用している不動産会社の従業員など。有効回答は371件。
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