東京商工リサーチ(東京都千代田区)は11月9日、10月の「負債1000万円未満」倒産状況について発表した。負債1000万円未満の企業倒産は、前年同月比30.5%増の47件で、5月から6カ月連続で前年同月超えとなった。10月に前年同月を上回ったのは3年ぶりで、2009年以降では2010年(52件)に次いで3番目の多さとなった。「新型コロナ」関連倒産は、13件(前年同月9件)だった。
1-10月の累計件数は394件(前年同期比17.6%増)で、11月には前年の年間件数(410件)を超える可能性が高い。負債1000万円以上も793件(同33.0%増)と19カ月連続で前年同月を上回っており、負債の規模を問わず企業倒産は増勢を強めている。
産業別では、建設業が前年同月と同件数の4件(構成比8.51%)、不動産業は2年連続で発生がなかった。業種別では土木工事業2件(前年同月1件)などで前年同月を上回った。
負債1000万円未満の倒産はほとんどが小・零細企業で、人的・資金的な面で制約があるため、一度販売不振に陥ると事業継続を断念して破産を選択するケースが多い。ゼロゼロ融資の返済が本格化するなか、物価高や人件費上昇などのコストアップが資金繰りの大きな負担となっている。政府は、借換え融資や資本性劣後ローンなどの支援策を打ち出しているが、経営再建の可能性のある企業が対象となっているため、同社は小・零細企業への細やかな支援策が必要だとしている。
■関連記事
建設業のコロナ破たん累計915件に 東京商工リサーチ調べ
1~9月「建設業」倒産が前年同期比1.4倍、1221件に
住宅ビジネスに関する情報は「新建ハウジング」で。試読・購読の申し込みはこちら。