工務店の集客は厳しくなる一方だ。北海道札幌市を拠点に「性能×デザイン」を両立した住宅を提供するアーキテックプランニングは、ウッドショックを境に集客数が減少。これまでと違うアプローチの必要性に駆られ、コンベックス(東京都渋谷区)が提供する営業自動化システム「Digima(デジマ)」を導入した。資料請求を希望した見込み顧客の追客をセールスオートメーションで対応、営業活動の強化を目的に利用を進める。
同社は2002年に創業し、北海道札幌市内を商圏として14年までシンプルモダンのローコスト住宅を手がけてきた。15年には高断熱・高気密住宅「class S(クラスエス)」の販売を開始。一定の評価を得ていたデザイン性に、高性能をかけ合わせた「性能×デザイン」の商品ブランディングによって、地域で支持を集めてきた。19年には福岡支店を開設、全国に販路を広げている。
また、顧客に手頃な価格で高性能住宅を提供するため、効率化の取り組みにも余念がない。契約から着工、引渡しまでの工程を一貫して自社で行うことで無駄なコストを徹底的に省き、さらなる業務効率化を図るためにDXツールを導入する姿勢も積極的だ。
業界全体で集客数減少
Digima導入でテコ入れ
同社の大きな特徴は、資料請求を通じた問い合わせが特に多いことだ。問い合わせ流入元の比率が高い「SUUMO(スーモ)」の北海道の工務店アクセスランキングでは、1位を獲得した経歴を持つ。資料請求からの問い合わせを集めることができる理由について、「価格・性能・会社の信用性など、お客様が欲しい情報は全て開示する。問い合わせしやすい状況を構築することが重要」と相馬さんは説明する。
近年では、クレームや顧客満足度アンケート、会社の決算情報まで開示している。「もし私がお客様だとすれば、業績や実績が見えない会社は不安だ。注文住宅を建てるのであればなおさらだろう」と企業の透明性確保の意義を語る。
一方で「資料請求を行った見込み客、全員を適切にフォローできているわけではない」(相馬さん)現状もある。生活者の購買行動では「とりあえず資料請求」のパターンもあり、検討状況が把握できないまま全ての問い合わせに対応することは現実的ではないからだ。また、同社の営業は設計も兼務しているため、1つずつ図面を書いて提案していたらきりがない。
従来は一定数の集客を確保できていたこともあり、受注確率が高い見込み客に絞って対応していた。しかし、ウッドショックなどの外部要因を背景として、業界全体で新築着工数、特に持ち家が減少するにつれ、同社の集客も減少傾向が現れてきた。
営業自動化で受注率向上
集客減への対策として23年2月に、デジマを導入した。相馬さんは集客数の減少に対して「今まで取りこぼしていたお客様をフォローすることで挽回したい」と考えており、デジマによって「セールスオートメーションによる営業の効率化」「顧客アクションの見える化」「顧客情報の一元管理」の強化を図ることにした。
セールスオートメーション機能では、資料請求を行った見込み客に対して自動的にメッセージを送信した後、必要に応じて個別対応に切り替えることもできる。返信の内容を確認して、見込み客の関心の度合いを見極めることができるため、より具体的な追客ができる。
また、自社サイト内の、どのコンテンツを閲覧したか、ウェブ追跡機能で確認すれば、間取りやデザインなど顧客の関心事も推測できる。各媒体の資料請求で得た顧客情報は、自動で取り込み一元的に管理する。営業担当者は自動的に割り振られ、追客状況も確認できるためアプローチの漏れもない。
相馬さんは「業務の見える化は、営業活動を活発化する」と捉え、営業担当者が積極的にアプローチできる環境を整えた。状況に応じて、具体的な対策を講じることで受注率を高めることができたため「営業活動の質が上がった」と振り返る。副次的な効果として、運営からのフォロー体制が手厚いことも相馬さんの評価ポイント。「住宅業界に精通しており、自社の状況を把握したうえで的確な打ち手を提案してくれる」。
一方で「デジマを導入して集客数が増えるわけではない。あくまで顧客情報の管理と営業の自動化がメイン」とも。同社のように問い合わせに対応しきれていない、一定の集客数を効率的に捌くことを目的にする企業にとって最適なツールといえる。
DXを最大限活用する
リーディングカンパニー目指す
相馬さんはかつて手間請けの大工として働いており、稼ぐためには効率を追求しなくてはならなかった。その経験から、今でも業務の効率化を推進するためなら、新しいDXツール導入には抵抗がないという。2010年にはいち早くクラウド管理のソフトウェアを導入し、20年には電子契約を採用するなど、経営方針にも効率化の考えが表れている。
「住宅業界は、DXツールを日常的に使用するほど市場が成熟していない」と相馬さん。だが利用していない会社が淘汰されていくではないかと、危機感も募らせる。だからこそ効率化できる業務を徹底的に詰めている。同社の利益率は2割の設定だが、販管費や原価、労務費も含めて支出を抑えることができているから、業績的には利益率が低くても問題ない。集客と利益率を確保するため、手段としてDXツールの活用を進めている。
今後は「DX活用のリーディングカンパニーになりたい」とも相馬さんは意気込む。まずはツールを使いこなすことを意識し、各ツールのポテンシャルを最大限引き出す。そしてさまざまなソフトウェアと連携させ、会社内に蓄積されたデータを流用することで、業務効率と利益の最大化を目指す。
集客数が減り、住宅業界にとって厳しい時代の中でも「営業が利益をあげられるようにしたい」という思いが相馬さんにはある。そのために、会社が一定の集客数を担保するシステムを構築することで、社員にとって働きがいのある会社として成長し続ける。
(sponsored by コンベックス)
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