野村不動産(東京都新宿区)は11月8日、旧野村不動産溜池ビルの建て替え事業として同社が推進する木質サステナブルオフィス「野村不動産溜池山王ビル」(東京都港区)について、10月31日に竣工したと発表した。
同ビルでは、同社の事業企画・監修のもと、清水建設(東京都中央区)のハイブリッド技術「シミズ ハイウッド」を活用。木質建築部材と鉄骨造を合理的に組み合わせ、高い耐震性・耐火性・施工性を確保しつつ無柱の木質オフィス空間を実現した。2021年度の国土交通省サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)に採択されている。
賃貸オフィスビルでは入居企業のニーズの対応が求められるため、今回の木質化への取り組みでは入退去時の可変性に対応した間仕切り対応システムや床吹出し空調、照明計画を採用した。同ビルの環境配慮への取り組みなどが評価され、竣工前に一棟賃貸借契約が完了済み。
同ビルは木の使用量(約470m3)を最大化させ、建設時のCO2排出量約125tの削減と、木材が成長段階で吸収するCO2約285tの固定化を実現。高効率な設備の導入や事務室照度および電気容量の適正化によってZEB Ready認証を取得した。鉄骨造と木質構造の特性を生かしたハイブリッド架構計画で、21m×18mの開放的な木質無柱空間を創出した。ワーカーの健康と知的生産性の向上にも寄与する、環境配慮とウェルネスを両立した木質サステナブルオフィスとなっている。
外装計画では、格子状の木質フレームを表出することで印象的な都市景観を創出。木格子部分は高耐候性クリア塗料を塗布し、ガラスでケーシングすることで、木質ファサードの表出と長期間の美観保持を両立している。エントランスにはスギ材のルーバーを配置し、内外に植栽を配置することで、外部環境を取り込んだ親自然的な空間とした。エントランスに付随するテナント専用ラウンジには、準不燃クリア塗料を塗布した木天井を採用している。
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