防衛省は11月7、8日に開いた、建設コンサルタント関係者など入札資格者を対象とした意見交換会で、2024年(令和6年)度から本格的に実施される自衛隊施設の強靱化・最適化事業について説明。全国283地区の基地・駐屯地内の建物1万2636棟の建替と、5102棟の改修を行う方針を示した。直近では令和6年度予算成立後に、自衛隊施設の最適化に係る設計業務および土質調査業務、航空写真測量業務について公示を行う予定。
強靱化・最適化事業は、政府が7月に閣議決定した「新たな国土強靱化基本計画」に基づいて実施されるもの。全施設の約4割に当たる9900棟の施設が旧耐震基準であり、災害時や防衛上必要な機能を維持するためにも建替・改修が急務となっている。
来年度の概算要求では、既存施設の更新(構造強化、再配置・集約化、ライフラインの多重化など)に3916億円、災害対策(津波・浸水対策、法面崩落対策、飛行場の液状化対策など)に121億円、司令部の地下化などに176億円など、計8043億円を計上している。
建替・改修対象は、築77年以上が経過した589棟、築76年~40年の9286棟、築20年以上の9142棟など。施設の規模は5種類で、▽規模a:5000平米以上(建替161棟)▽規模b:3000~5000平米(建替437棟)▽規模c:1000~3000平米(建替1130棟)▽規模d:200~1000平米(建替2576棟)▽規模e:200平米未満(建替8332棟)―となっている。
用途別では、▽庁舎141棟▽隊舎485棟▽事務所棟997棟▽その他RC造2679棟―などの改修を予定。建物のZEB化、LED導入、太陽光発電設備、再生可能エネルギー施設の設置なども計画している。
今回の事業計画では施設数が多く、相当な業務量となることを考慮し、レイアウトの標準化・簡素化を図る考え。各室サイズの標準化、既存施設の平面レイアウトの活用、内壁を作らず棚で部屋を区切るなど、コストに配慮したECI方式(技術提案・交渉方式)での発注を検討している。また、地元企業を中心とした中小事業者の参画を進めるため、入札参加要件や技術者要件の緩和、JV構成員数制限なども行う。
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