東京商工リサーチ(東京都千代田区)が企業を対象に実施した忘・新年会に関するアンケート調査で、コロナ禍で自粛が広がった忘・新年会は、5月に新型コロナウィルス感染症が5類に移行した後も、実施予定率が54.4%にとどまることがわかった。調査は2023年10月2日~10日、有効回答は4747社。
2023年末の「忘年会」、または2024年初の「新年会」を開催するか聞いたところ、「コロナ禍前も実施しており、今回も実施する」が36.2%(1721社)と最も多かった。「コロナ禍前は実施していなかったが、今回は実施する」は18.2%(865社)で、今シーズンに忘・新年会を実施する企業は、合わせて54.4%だった。一方、「コロナ禍前は実施しておらず、今回も実施しない」は23.6%(1122社)、「コロナ禍前は実施していたが、今回は実施しない」は21.8%(1039社)で、忘・新年会を実施しない企業は合わせて45.5%だった。「実施する」企業を規模別でみると、大企業は57.8%(596社中、345社)、中小企業は53.9%(4151社中、2241社)となった。
「コロナ禍前も今回も実施する」と回答した理由で、最も多かったのは「従業員の親睦を図るため」の87.0%だった。次いで「従業員の士気向上のため」が53.2%と半数を超えたが、「会社の定番行事のため」は31.9%と3分の1に満たず、時代の変化がうかがえる。規模別では、「従業員の士気向上のため」「会社の定番行事のため」は、中小企業の方が高くなっている。「その他」(1.98%)には、「協力会社との交流」「OBの方々への状況報告もかねて」などがあげられた。
「コロナ禍前は実施、今回は実施しない」と回答した理由で、最も多かったのは「開催ニーズが高くないため」の53.8%だった。次いで「参加に抵抗感を示す従業員が増えたため」(42.2%)が続いた。「労働時間としてカウントされる恐れがあるため」も10.0%あった。規模別では、大企業で開催ニーズや従業員の抵抗感をあげる割合が高く、中小企業では費用面を理由とする割合が高かった。「その他」(15.2%)では「コロナまたはインフルエンザに感染する可能性がある」など、感染症への懸念を示す声も多い。
都道府県別では、最高は沖縄県の78.7%、最低は埼玉県の41.1%だった。企業の「忘・新年会離れ」には、定例イベントの見直しや、ワークライフバランス、コンプライアンス意識の高まりも影響しているとみられる。「コロナ禍前も今回も実施する」企業の9割近くが、理由に「従業員の親睦」をあげているが、同社は親睦行事とするには限界が近いと指摘。円滑なコミュニケーション、仕事のモチベーションアップが目的の「飲みニケーション」は岐路に立たされているとした。
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